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  • 2023/02/28 掲載

急回復するインバウンド、爆買いされる「あの商品」 3年分リベンジ消費で活況見せる観光業の今

連載:「コロナ後のインバウンドの行方」

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街に訪日外国人(インバウンド)が戻ってきた。都内の電車には大荷物の訪日外国人が「復活」し、筆者が久々に訪れた大阪市内のホテルでは、ロビーでチェックインの列をなす半数以上が訪日外国人だった。背景には、新型コロナウイルスの水際対策の本格緩和がある。2023年1月の訪日客数は150万人と、コロナ前の2020年1月の約6割の水準まで回復した。2023年は2000万人を超える水準まで伸びると期待する声も上がるが、コロナ前に主役だった中国からの客はほとんど戻っていない。インバウンドはこのまま順調に回復するのだろうか。コロナ前を振り返りつつ、インバウンドの現況を分析する。
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図表2:1965年以降の訪日外国人旅行者数推移(のちほど詳しく解説します)
(出典:日本政府観光局(JNTO)資料より筆者作成)

水際対策緩和で急速に回復するインバウンド

 コロナ禍で一時ゼロに近い水準まで落ち込んでいた訪日客数が急速に回復している(図表1)。欧州などに比べて格段に厳しいとされていたコロナ水際対策が、2022年10月、本格的に緩和されたためである。

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図表1:コロナ禍以降の訪日外国人旅行者数推移
(出典:日本政府観光局(JNTO)資料より筆者作成)

 感染が拡大し始めた2020年初め頃は、世界中で厳しい水際対策が実施されていた。だが、重症化率が比較的低い「オミクロン株」に流行の中心が移ったことやワクチン接種の進展で、2022年初め頃から、欧州各国や韓国、タイなど、水際対策を緩和する国が相次いだ。

 一方、日本の対策緩和は緩やかだった。2022年3月、日本到着時の隔離義務を緩和したのを皮切りに、1日あたりの入国者上限を徐々に拡大し、団体客の受け入れ再開などが段階的に進められた。

 水際対策が本格的に緩和されたのは2022年10月11日である。個人旅行が解禁され、短期滞在者のビザ免除措置が再開され、入国者数の上限も撤廃された。一連の規制緩和に円安も加わり、観光、グルメ、温泉、買い物、スキー、スノボ、その他もろもろの日本を満喫したいと、訪日を待ちわびていた外国人旅行者が大挙して日本を訪れ始めたのである。


存在感を失った中国、けん引役は韓国

 本格回復の兆しを見せているインバウンドだが、回復度合いは国・地域によって異なる。直近の2023年1月の訪日客数をコロナ前の2020年1月と比較すると、国・地域別で最も多い韓国(56.5万人)と2位の台湾(25.9万人)が19年1月の約7割の水準に戻しているのに対して、コロナ前に客数・旅行消費額の両面で主役だった中国(3.1万人)は同95.9%減とほとんど存在感がない。

 これは、中国が日本行きの海外旅行商品の販売禁止措置を続けていること、日本側も中国に対して入国時検査など水際規制を残していること(2023年2月15日現在)による。インバウンドをけん引しているのは韓国からの客である。

 ただ、韓国からの客に関しては、コロナ前、紆余(うよ)曲折があった。訪日客数で中国に次ぐ存在であったのに、日韓関係の悪化で2019年8月以降、大幅に減少していたのである。元徴用工問題の判決で雲行きが怪しくなっていたところへ、日本政府が韓国の「ホワイト国」除外を閣議決定。韓国で大規模な日本製品や日本旅行のボイコット運動が発生するなど、日韓関係はこじれにこじれていた。

 そこへコロナ禍が起きた。コロナ対応に追われて、両国とも日韓関係への関心を相対的に低下させた。それどころではなくなったのである。

 もともと、韓国人にとって日本は大変魅力的な旅行先である。距離が近い上に、日本に行けば、多くの韓国人が好む温泉、ゴルフ、山歩き、日本食をリーズナブルに楽しめる。日本の魅力は、物価が韓国ほど上昇していないこと、円安で一段と高まっている。英経済誌「エコノミスト」が発表している「ビッグマック指数(2022年)」によれば、ビッグマック価格は韓国483円に対して日本は390円。今や、韓国から見て、日本はお得な国なのである。日韓を結ぶ航空座席が増えていることも追い風となっている。

 続々と訪日しているのは韓国人だけではない。台湾、香港、米国、東南アジア諸国からも日本旅行を心待ちにしていた旅行者が押し寄せている。 【次ページ】「円安」「リベンジ消費」で百貨店免税売上は好調
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