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- 2024/04/09 掲載
X(Twitter)が広告・利用者“激減”でピンチ…大復活へぶち上げた「注目の10機能」
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
SNSの中でも「Xの利用率」が圧倒的に減少
米メディアがXの不振を伝えるようになって久しい。そうした中、市場調査企業の米Sensor Towerが調べた、Twitter買収直後の2022年11月から2024年2月までのXにおける1日当たりのSNSアクティブユーザー数の推移によると、若年層に人気のTikTokが9.5%減、Instagramは4.4%減など、すべてのSNSで減少が見られたが、中でもXの減り方は突出しており、22.9%だった(冒頭の図1)。加えて、別の調査企業である米Edison Researchが3月に発表した12歳以上の米国総人口におけるXの利用率では、2022年と2023年に27%だったのが、2024年には19%に急減している。米国内の利用人数に直すと、2023年の総数7700万人から2024年の5500万人へと2200万人も失っており、その減少幅は30%にも上る(図2)。
ユーザー数や利用率の急落の原因について、米メディアでは「買収後にマスク氏が実施した機能追加などの改良で、逆にXが使いにくくなった」「以前のような牧歌的な雰囲気が失われた」「新たに導入されたインプレッション(閲覧数)によるクリエイターへの収益分配が一部アカウントに悪用され、そのせいで本当に重要な投稿が埋もれてしまう」などの理由が取り沙汰されているが推測の域を出ない。
ここで重要なのは、Xの発表と調査企業の推計が大きく食い違うことだ。調査企業が発表したユーザー数や利用率は、あくまでもアンケート形式のサンプル調査による推計に過ぎず、またXの公式数字が誇張であるとする内部からのエビデンスはない。たとえば、世界における2月の1日当たりアクティブユーザー数はSensor Towerの推測で1億7400万人であるのに対し、Xの発表では2億5000万人と、7600万人もの違いがある。
顧客に「くたばれ」など…広告出稿が激減
しかしXの経営でそれ以上に深刻なのが、広告主離れである。マスク氏によるXの成長計画(次のページで解説します)においては、広告収入に依存した収益分配など「繁栄するクリエイター経済」が柱として構想されており、広告収益の重要性は増している。Xの事情に詳しい関係者によれば、Xの売上高全体に占める広告収入の割合は2023年12月現在で70~75%であった。こうした中、Sensor Towerによれば、2022年10月以降にXの米国における広告主上位100社のうち75社がXへの広告の掲出を停止した。2023年11月には「親ナチス関連の投稿の隣にアップルやオラクル、IBMなどの大手企業の広告が表示されている」との活動家団体による告発を受け、多くの企業が「反ユダヤ主義を助長している」と批判されるXへの広告出稿を見合わせた。
さらに、広告主との関係悪化は厳に回避すべきであるにもかかわらず、マスク氏は付き合いを停止したディズニーなどの広告主に対して「くたばれ(Go fuck yourself)」と発言するなど、自社の立場をさらに悪化させた。これらが影響して、2023年のXにおける広告収入はおよそ25億ドル(約3,750億円)と、目標の30億ドル(約4,500億円)に遠く届かなかったとされる。
さすがのマスク氏も、この結果を重く受け止めたようだ。早々とユダヤ系団体との関係修復に乗り出し、2024年1月にはユダヤ人強制収容や虐殺が行われたポーランドのアウシュビッツを訪問して犠牲者を悼む気持ちを表明するなど積極的に動いている。
同時に、主に10施策ある収益改善策を推進。中でも注目なのはプランBに据えた施策だ。
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