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  • 2007/05/24 掲載

ソフトウェア資産管理を極める!(2)SAMを難しくする3つの理由

IT資産管理のファーストステップ

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ソフトウェア資産管理(SAM:Software Asset Management)が今注目を浴びている。今さらソフトウェアの管理?と思われる方もいるだろうが、無形の資産で把握のしづらいソフトウェアの管理は、内部統制を正面から取り組む企業にとって大きな課題となりつつある。実際やってみると非常にやっかいなソフトウェアの管理を、どのような形で実現するのが最も効率が良いのだろうか?長年IT資産管理のコンサルティングに従事する篠田仁太郎氏が解説する。

篠田仁太郎

篠田仁太郎

クロスビート ソリューションプランナー
1987年にダイヤモンドリース(現三菱UFJリース)入社。IT資産管理のアウトソーシングサービスの草分けとなる「DREAMS」を立ち上げ、顧客向けのIT資産管理コンサルティングをはじめる。大手企業のIT資産管理コンサルティングの実績多数。ISO/IEC19770(SAM)のワーキンググループ委員。現在、三菱UFJリース商品開発室に勤務するかたわら、クロスビートのソリューションプランナーとして、セミナーやコンサルティングを行っている。

SAMを難しくする3つの理由

 前回は、ソフトウェア資産管理(SAM)はなぜ必要かということと、ソフトウェア資産管理システム(SAMS)の構築手順自体は、それほど複雑なことではないということを述べた。

 しかし現実には、ソフトウェアメーカーが求める使用許諾条件の順守を証明できるレベルで、SAMSが構築できている企業は、ほとんどないといえる。今回は、なぜSAMの構築は難しいのか?その理由3点をご紹介したい。

複雑なライセンス体系

 まず挙げられるのは、複雑なライセンス体系である。使用許諾の方法は、権利者であるソフトウェアメーカーが自社のポリシーに従って決定する。従って、細かいところまでみれば、使用許諾条件やライセンスの体系は、メーカーごとにすべて異なると言ってもよい。

 また、同じソフトウェアメーカーでも、契約したライセンス形態によって、使用許諾条件が異なってくるケースもある。たとえば下記表のような例がそうだ。マイクロソフトの一部製品の追加購入条件だけを見てみても、規模の大小、利用シーンにあわせて、さまざまなものが用意されている。「ライセンスの過不足を把握する」ということは、インストールされているソフトウェア1本ごとに、導入したライセンス形態をひも付けて管理しなければならないということなのである。

ライセンスの考え方が変わるシーン具体例
メーカー別ボリュームライセンス(会社の単位)、アップグレードラインセンス、ボリュームレンジなどの考え方など
購入方法別店頭購入、ボリュームライセンス、OEMなど
使用方法別ダウングレード使用、自宅使用、アップグレード使用など
使用許諾権内容プレインストール、バンドル、パッケージなど
ライセンス体系の見直しエンタープライズアグリーメント(マイクロソフト)、最小ユーザー数の見直し(オラクル)など


 このように「ライセンス管理」と一口に言っても、その範囲を定めるだけでも極めて複雑かつ煩雑であり、その体系の理解と把握には、高度な専門知識が要求されることがわかっていただけると思う。

膨大な社内利用ソフトウェアの種類

 皆さんは、社内で利用されているソフトウェアの種類はどれくらいあるとお考えだろうか?ここでいうソフトウェアの種類とは、例えば、Windowsのコントロールパネルにある「プログラムの追加と削除」に表示されているソフトウェアを全社分グループ化した結果のことである。

 筆者のこれまでの経験値から回答させていただくと、平均は何と全保有PC数の約2.3倍である。勘違いしないでいただきたいのだが、これはフトウェアの使用本数ではなく、あくまでも種類である。もちろん、保有PC数が増えれば、相対的にPC数比の種類は減ってゆくが、それでも少なくとも、保有PC数に近い種類は見つかるものである。

 なぜこんなにも膨大な種類のソフトウェアが使われているのだろうか?

 それは、IT管理者の業務負荷削減のために、利用PCの管理者権限を一般ユーザーに与えているからである。そのため、便利で、導入の容易なフリーウェアやシェアウェア、スクリーンセーバーなどのユーティリティの勝手インストールによる増殖、また周辺機器(外付けドライブやデジカメなど)の取り付けによるドライバや、バンドルソフトの追加による増殖が起きているのだ。ここで、誤解しないでいただきたいのだが、管理者権限を与えることがいけないと言っているのではない。管理者権限を与えられたユーザーの使用状況を把握していないことが問題を起こしているのである。

 この話をすると、「フリーウェアやドライバ、バンドルソフトは、そもそも管理対象外ではないか?」という方がいる。それは認識が違う。そもそも、保有PCの2倍以上もある種類から、どれが有料ソフトウェアであるかをどのように把握すればいいというのだろうか?

 すべてのソフトウェアについて、どういった性質のものなのかを調べ、色分けをしなければ、除外できるソフトウェアは特定できない。結局、見つかったソフトウェアすべてを「管理」しなければならないのである。ただし著作権法上は、フリーウェアであろうが何であろうが、すべて使用許諾条件の下に使用されなければならないことは言うまでもない。

 まず、ほとんどの管理者の方は、あまりに膨大な種類を前に、途方に暮れてしまうのである。しかもこれは、日々増殖していくのだ。


増殖し続けていくソフトウェア

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