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- 2020/10/15 掲載
IT部門が「PCマネジメント」を軽視してはいけないワケ、ITR金谷氏が解説
今後さらに高まるIT部門へのプレッシャー
まず金谷氏は「IT部門は時代ごとに徐々に変遷してきましたが、とりわけここ数年、その役割や求められる機能が様変わりしてきています」と、IT部門を取り巻く環境の変化を指摘する。金谷氏によると、社内ITの提供形態も変化し、最近では非常に速いスピードで社内ITのサービス化、いわゆる「IT as a Service」が進展しているという。経営層や事業部門からのリクエストを受けて機器を調達したり、ソフトウェアを開発したりという「受け身の姿勢」から、グループ全体で活用可能な機能をあらかじめ用意しサービスとして提供できる「独立性の高い事業体として振る舞う」ことが求められている。
「今後のIT部門には、『社内ITサービスプロバイダー』としてのビジョンを持つことが求められます。技術標準化、公正な課金、グループ統制といった施策を進め、IT部門の提供するサービスの価値を適切に社内に訴求することが望まれます。また、新型コロナウイルスの影響でリモートワークが急速に導入されたことにより、現場作業のリモート化、クラウド化、デジタル化などが進み、業務の自動化や外部活用が加速しました。この流れは今後も続くでしょう。そして、今取っている対策は必ずしもベストな方法ではなく、改良の余地が多く残されています」(金谷氏)
新型コロナウイルスの影響は多くの業界や企業の業績に影を落としており、効率の追求が求められるIT部門へのプレッシャーがさらに増大することが想定される。ビジネスの慣習や働き方などの社会的価値観の変化は、企業がビジネスモデルの変革を余儀なくされることを意味する。
「デジタル化がさらに進む状況において、IT部門が求められる役割を果たすために重要なカギの1つとなるのが『PCマネジメント』です。今後、どのように運営していくべきかを真剣に考えて取り組む必要があります」(金谷氏)
では、IT部門はどのようにPCマネジメントを推進していけばいいのだろうか。金谷氏は、これまでのPCの運用管理のトレンドを踏まえて、PCマネジメントにおける課題と、その解決策を提示した。
現状のPCマネジメントにおける2つの課題
2000年ごろに「統合運用管理ツール」が市場に登場するようになってから、ITサービスマネジメントのベストプラクティスをまとめた「ITIL(IT Infrastructure Library)」が日本でも徐々に浸透し始めた。また、技術的な動向としては、仮想化/クラウド技術の普及や企業ITのサービス化が起き、クラウドファーストを掲げる企業が増加した。金谷氏によると、現在は「運用管理ツールのOSS(オープンソースソフトウェア)/SaaS/サービス化」がトレンドになりつつあるという。さらに、複数のクラウドサービスを利用する企業が増えたり、クラウドネイティブなアプリケーションが普及し始めたことで「クラウド管理ニーズ」も増大傾向にあると指摘する。
金谷氏は「一方、システム運用環境の変化により、PC管理の分野においてもさまざまな課題が浮上しています」と語る。特に重視すべき課題として、「クライアント端末の多様化」「複雑化するソフトウェアのライセンス体系」の2点を挙げる。
【次ページ】PCマネジメントにおける2つの課題、その解決方法
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