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- 2025/06/25 掲載
丸亀製麺には難しい?“ある需要”取り込む…北九州発「資さんうどん」が超強いワケ
【連載】流通戦国時代を読み解く
みずほ銀行の中小企業融資担当を経て、同行産業調査部にてアナリストとして産業動向分析に長年従事。分野は食品、流通業界。執筆、講演活動中で、TV等マスコミで情報発信中、連載記事は月6本以上。主な著作物に「図解即戦力 小売業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書」(技術評論社)、「小売ビジネス」(クロスメディア・パブリッシング)などがある。
資さんうどんが急成長できた…「影の立役者」
資さんうどんは1976年に北九州市戸畑区に開店したうどん屋であり、創業者の一字をとって「資さん」を屋号としたらしい。ごぼうのかき揚げから進化した、スティック状のごぼうの天ぷらが入った、ゴボ天うどんが有名だ。時代を経て北九州の人気店から九州の人気チェーンとなっていたが、2012年、後継者問題で福岡銀行系ファンドに創業者の株式が譲渡されている。
2018年には、さらに投資ファンド、ユニゾン・キャピタルに譲渡、同ファンドがさらなる成長に向けた支援を行っていた。その結果、ユニゾン投資時に北部九州のみ39店舗だったチェーンは、九州~関西72店舗、売上高は160億円(経常利益6億円)という規模まで拡大、大手すかいらーくのグループ入りというエグジットを迎えることになった。
これは正に、ファンドによる支援が成長へとつながった好事例であり、広域展開可能なインフラ、オペレーションを確立し、全国展開可能なチェーンであることを業績で証明して見せた結果であるといえよう。
すかいらーくが、ローカルうどんチェーンをグループに迎えた理由は、主に4点ほどが考えられる。ここから詳しく解説していきたい。
(2)資さんの高い売上実績
(3)ファミレスのスクラップ&ビルドニーズ
(4)コロナ禍が残した教訓
丸亀製麺は難しい?資さんうどんなら「取り込めるある需要」
まずは、うどん屋市場の動向について触れておきたい。統計(経済センサス)によると、そば、うどん店の店舗数はかなり前から減り続けており、2006年約3万4000店→2021年約2万3000店弱へと減少、2/3ほどまでになっていた。しかし、消費者1人あたりの年間支出金額はコロナ禍の2021年は若干減らしてはいるが、ほぼ横ばいだ。これは、個人営業のそば屋、うどん屋が減少しているが、うどんチェーン店などの拡大もあって、全体として需要が減っているわけではない、ということを示している。
また、個人のそば、うどん店は、町の和食屋でもあって、この店が減ることで、昼の丼もの需要、夜のチョイ飲み需要に応えられる店が減っているということでもある。
最近拡大した丸亀製麺など、流行のうどんチェーンにはその機能はあまりないからである。この点では、資さんうどんは丼ものなど食事メニューが豊富で、24時間営業でチョイ飲み対応も可能なのである。いわば、深夜営業ありのうどんファミレス的な機能を備えており、そば、うどん店減少で空いたスペースを取り込むことが可能なのである。
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