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- 2024/05/29 掲載
なぜSeriaは勝てない?100円ショップ王者「DAISO」だけが“物価高でも絶好調”の理由
【連載】流通戦国時代を読み解く
インフレでも絶好調? 100円ショップ各社の売上比較
円安が話題になるたびに、マスコミ関連の方々から聞かれるのが、「こんな円安になってしまうと、100円ショップは経営が成り立たなくなるのではないか」という話だ。たしかに、海外で製造した商品を100円均一で品揃え・販売する、というビジネスにとって、円安の進行はその収益減少に直結する大問題である。テレビ番組では、街の独立系100円ショップを取材し、商品棚のそこかしこがスカスカになっており、100円で販売できる商品が仕入れられなくなっている、という窮状が映し出されている。実際のところ、どうなのであろうか。
はじめに、100円ショップ業態を主軸とする企業の業績から見ていきたい。100円ショップと言えば、大手による寡占化がかなり進んでいるため、我々が接する店と言えば、大創産業(以下、ダイソー)、セリア、キャンドゥ、ワッツの大手4社が大半を占めるようになった。
- 大創産業:DAISO(ダイソー)
- セリア:Seria(セリア)
- キャンドゥ:Can Do(キャンドゥ)
- ワッツ:Watts(ワッツ)、meets(ミーツ)、silk(シルク)、FLET’S(フレッツ)など
各社の売上規模を比べると、ご存知ダイソーが売上6,749億円で圧倒的なトップ企業となっている。次いで2位はセリアの2,232億円、3位はキャンドゥ803億円、4位はワッツの597億円で、上位4社を合算すると1兆円を超える。中でも、首位ダイソーと2位セリアは競り合いながら両社売上を伸ばし続けており、3位以下はかなり引き離されつつある状況にある。
最近では、この上位4社に加えて、「300円ショップ」という業態の中から、上場アパレル企業のパルが運営する「3COINS(スリーコインズ)」が急成長しており、直近では売上630億円と、100円ショップ大手の一角を脅かす存在となった。
そのため、同業界の名称も、「100円ショップ」から「均一価格ショップ」と言われているようになり、5社が牽引する市場規模はいまだに拡大基調にある。
ここからは、均一価格ショップ各社の売上・利益率などを比較しながら、どの路線が生き残る道につながるのか見ていきたい。 【次ページ】正解はどっち?「100円の死守」と「価格修正路線」
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