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  • 2008/07/03

HSDPA(W-CDMA高速データ通信)とは?(前編)【2分間Q&A(45)】

グローバル化の進む携帯の3Gデータ通信のキーテクノロジー

iPhone、Windows Mobile端末などのスマートフォン、データ通信カードを使ったサービスなど、モバイルインターネットの世界がにわかに活性化している。このキーテクノロジーとなるのが携帯電話の3Gデータ通信規格「HSDPA」だ。HSDPAは最大14.4Mbps(理論値、下り)という高速なデータ通信が可能で、現在の携帯電話系データ通信の主力として大きな広がりを見せている。

世界に広がる3Gの高速データ通信規格

 HSDPA(High-Speed Downlink Packet Access)は、第3世代携帯電話(以下、3G)の標準化団体である「3GPP(Third Generation Partnership Project) 」が策定した高速パケット伝送規格だ。これらは携帯電話の3G通信規格「W-CDMA」を高速化するための拡張規格として位置づけている。W-CDMAのパケット通信速度は最大384Kbpsだが、HSDPAの最大通信速度は14.4Mbps(共に理論値)となる。

 日本ではW-CDMAを採用するNTTドコモ(FOMA)、ソフトバンク(Softbank 3G)、イー・モバイルがHSDPA/HSUPAに対応し、それぞれ「FOMAハイスピード」「3Gハイスピード」「EMモバイルブロードバンド」という名称でサービスを展開している。ただし、auは「CDMA2000」という通信規格を採用しているため、データ通信は下り最大2.4Mbpsの「CDMA 1X WIN(EV-DO Rev.A)」規格となる。このEV-DOとHSDPAとの互換性はない。

 世界規模で見ると、日本は携帯電話の3G化にかかる動きが比較的早く、北米やヨーロッパなどではようやく「GSM(Global System for Mobile Communications)」という第2世代携帯電話規格(2G)から3Gへの移行が開始している状況だ。GSMの業界団体である「GSM Association」によると、HSDPAは世界76ヵ国で商用サービスを開始しており、その市場は拡大の一途を辿っている。

 ちなみに、大きな話題となっているアップルの携帯電話「iPhone 3G」は世界22ヵ国(将来的に70ヵ国)で2008年7月11日に発売されるが、日本ではソフトバンクモバイルのW-CDMA/HSDPAを用いて通信を行う。その他、各事業者が販売するHSDPA対応携帯電話、データ通信カードで利用できる。現時点(2008年6月現在)では、セル系モバイル通信として最速の手段という位置づけだ。

HSDPAはなぜ速い?

 HSDPAはW-CDMAのパケット通信において、下り方向の通信を高速化する規格だ。W-CDMAとの大きな違いは、変調方式にある。W-CDMAでは変調方式に「QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)」を使うが、HSDPAではこの方式に加えて「16QAM」というものを用いる。16QAMはデジタル変調方式の1つであり、QPSKの2倍の4ビットのデータを1度に効率良く伝送できる。

 また、W-CDMAでは単一の符号を1ユーザーに割り当てているが、HSDPAでは複数の符号を複数ユーザーに割り当てて多重通信を行う。W-CDMAでの通信とHSDPAの通信を無線チャネル上で「共有チャネル」として利用し、複数の音声・データ通信を多重的に効率良く利用できるようにしている。これらの技術によって、高速なデータ通信が可能となっている(図1)。

図1 HSDPAが高速な理由
図1 HSDPAが高速な理由
HSPDAで複数のユーザーに複数の符号を割り当て、1ユーザーあたりの実効速度を高速化する。規格上最大15までの符号を割り当てることができる


 なお、HSDPAはW-CDMAとは異なり、端末と基地局との通信状況に応じて変調方式を2ミリ秒という短い間隔で自動的に判別・変更し、伝搬状況が悪い時は低速なQPSKで通信を行い、電波状況が良好であれば16QAMで伝送を行う(図2)。このように、利用環境に応じて通信速度が変動する、ベストエフォート型サービスである。

図2 通常のW-CDMA通信とHSDPAとの違い
図2 通常のW-CDMA通信とHSDPAとの違い
HSDPAでは電波状況が良い場合のみ16QAMの変調方式で高速に通信できる。これは、16QAMがQPSKに比べてエラー訂正性能が弱いことも影響している


HSDPAの高速通信はエリア次第?


池田冬彦
AeroVision
富士総合研究所(現みずほ情報総研)のSEを経て、出版業界に転身。1993年からフリーランスライターとして独立しAeroVisionを設立。以来、IT系雑誌、単行本、Web系ニュースサイトの取材・執筆やテクニカル記事、IT技術解説記事の執筆、および、情報提供などを業務とする。主な著書に『これならできるVPNの本』(技術評論社、2007年7月)、『新米&シロウト管理者のためのネットワークQ&A』(ラトルズ、2006年5月)など多数。

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