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  • 2008/07/10 掲載

【連載】社内で導入するための実践「1枚企画書」講座(10)グラフの選択法と効果的なレイアウト(2/3)

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執筆:竹島 愼一郎

「定量データ」と「定性データ」

 前回「一次データ」「二次データ」というデータの種類分けを見てみましたが、グラフでデータを見せるとき、もうひとつ別の種類分けがあります。それは、この連載の第3回でも取り上げましたが、数値で表されるデータとそうではないデータという区分けです。


※クリックで拡大
図3:「定量データ」と「定性データ」を入れた例
 例を挙げて説明しましょう。これはゲームソフトについての好みの調査を行ったもので、いくつか種類分けしたアンケート項目のなかから好きなものを挙げてもらい、それらをデータ化して企画書に盛り込んであります。種類別の比較をしたい(比率を見たい)のでここでは円グラフを採用しました。

 ここで問題となるのは「もしもこういうソフトがほかにあれば買ってもいい」という思いを抱く人がいるかもしれないということです。そうした希望のデータはアンケートという方法で採取することはできません。なぜなら、限られた質問項目では例外的なものの想定がなされていないからです。想定がないと、たとえば「音楽ソフトが数値のうえで人気がない」と出たとき、その分野での商品化を検討せずにすませてしまうことになります。しかし実際には、これまでそれに類した商品がなかったか、あっても魅力がなかっただけなのかもしれません。

 少数意見が将来的にもマイノリティにとどまる可能性が高い場合は、それを無視してもかまいませんが、そこに何かの萌芽があるなら、それをじっくり見極めることが大切です

 もう少し言うと、企画というのはユーザーの「それに類似した商品がほしい」という希望をかなえるケースより、「もしもあったら買ってもいい」という潜在的な欲求を察知し、具現化することのほうが圧倒的に多いのです。

 だから食品メーカーの人ならコンビニに出向いて他社の商品と比較して、「濃厚な味わいの商品が売れているから当社でも力を入れよう」と発想したりするのではなく、違うシチュエーションやまったく別と思えたものと組み合わせること(たとえばキャラクターとのタイアップなど)のほうが大切で、そこに企画の醍醐味というものがあるのです。

 企画ではそうした潜在した意見を聴取することがよくあります。その代表的なものがグループインタビューという集団面接法ですが、代表的な意見をピックアップして企画書に盛り込む方法の一例が図3の左下にあるものです。

 マーケティングでは前者、つまり数値で示すことができるものを「定量データ」、後者の数値で示すことのできないものごとの性質や個人の嗜好などを「定性データ」といいます。

 前述を言い換えると、企画の醍醐味とは「定性データ」をうまく読み込んで斬新な発想で時代を斬るということにあります。それには想像力を最大限に活用するクリエイティビティ(創造性)が求められます。

 しかし「定量データ」が定性データに対して重要度が低いというわけでもありません。ターゲットがどういう意見をもっているか、ある程度の「あたり」をつけるためにはアンケートなどで「定量データ」をとる必要がありますし、「定性データ」の裏付けとしてあとから「定量データ」を新たに採取することもよくあります。

 「定量データ」と「定性データ」というのはこのように相互補完的に利用され、それによって企画の説得力は増すのだと認識しておくといいでしょう(前回の「一次データ」と「二次データ」の関係に似ています)。

 この「1枚企画書」では、グループインタビューで出てきたいくつかの意見を吹き出しの形で表しましたが、そのときその企画にふさわしい見せ方をいろいろ工夫してみるといいでしょう。

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