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  • 2025/07/15 掲載

日・米・独「今の企業の実力」徹底比較、調査で判明…IT人材の質・生成AI活用の差

連載:第4次産業革命のビジネス実務論

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情報処理推進機構(IPA)は、企業のDX推進を目的に、日本および米国の企業のDXに関する企業戦略、人材、技術について調査・分析した結果をまとめ「DX白書」として2021年から発行してきており、今年も第4弾として、「IPA DX動向2025」を2025年6月に公開しました。今回は、これまでの日本企業の動向分析に加え、日本・米国・ドイツの3カ国比較分析を実施し、日本企業のDXの現在地と課題を多角的に明らかにしています。調査項目は「戦略」、「技術」、「人材」という3つの視点から構成されています(調査期間は2025年2月上旬~3月下旬)。今回は、「IPA DX動向2025」から読み取れる日米独におけるDXの取り組み状況の違いなどについて解説します。
執筆:アルファコンパス 代表CEO 福本 勲

アルファコンパス 代表CEO 福本 勲

アルファコンパス 代表CEO
中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)

 1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。同年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げに携わり、その後、インダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「 DiGiTAL CONVENTiON」の立ち上げ・編集長などをつとめ、2024年に退職。
 2020年にアルファコンパスを設立し、2024年に法人化、企業のデジタル化やマーケティング、プロモーション支援などを行っている。
 主な著書に『デジタル・プラットフォーム解体新書』(共著:近代科学社)、『デジタルファースト・ソサエティ』(共著:日刊工業新聞社)、『製造業DX - EU/ドイツに学ぶ最新デジタル戦略』(近代科学社Digital)がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。2024年6月より現職。

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日本・米国・ドイツにおけるIT人材の質・生成AI活用状況の差とは?
(Photo/Shutterstock.com)

業種・規模別で見えてきた…日本企業の「DXの天井」

 「IPA DX動向2025」の2024年度の調査結果を見ると、日本で「全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」と回答した企業は34.4%であり、米国と同等程度であり、ドイツよりも高くなっています。

 また、DXに取り組んでいる企業(「全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」、「全社戦略に基づき、一部の部門においてDXに取り組んでいる」、「部署ごとに個別でDXに取り組んでいる」の合計)は2022年度:69.3%→2023年度:73.7%→2024年度:77.8%と着実に増加しているものの頭打ちの傾向になっていることがわかります。

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DXの取り組み状況(経年比較・国別)
(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA),「IPA DX動向2025」,(2025年6月).図表1-1)

 従業員規模別に見ると、日本の「1001人以上」の企業においてDXに取り組んでいる割合は米国、ドイツよりも高く96.1%となっている一方、「100人以下」の企業においては46.8%であり、2倍以上の差があります。日本では、従業員規模が大きいほど、DXの取り組みが進んでいることがわかります。

 一方、米国、ドイツは「301人以上1000人以下」の企業が最もDXに取り組んでいる割合が高くなっており日本と傾向が異なります。

 日本の中小企業においてDXの取り組みが進んでいないことが課題と考えられます。

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DXへの取り組み状況(従業員規模別・国別)
(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA),「IPA DX動向2025」,(2025年6月).図表1-2)

 業種別に見ると、DXに取り組んでいる企業は「情報通信業」がいずれの国でも8割を超えている一方、「サービス業」は6~7割程度にとどまっています。

 生産性が低いと言われているサービス業におけるDXの取り組みの促進が進んでいないことが課題と考えられます。

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DXへの取り組み状況(業種別・国別)
(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA),「IPA DX動向2025」,(2025年6月).図表1-3)

日・米・独「DXの成果」どれだけ違う?

 DXの取り組みにおいて設定した目的に対して成果が出ているかの割合に関する調査結果を国別で見ると、米国とドイツでは8割以上が「成果が出ている」と回答している一方、日本では「成果が出ている」との回答は6割弱となっており、DXにおける成果創出に大きな差が出ています。また、経年変化を見ても日本の「成果が出ている」という回答割合は伸びていません。

 また、日本の「わからない」の回答割合が米国とドイツに比べて大きく、DXに取り組んでいるものの成果が出ているかをトレースできていない企業が多いことが推察されます。

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DXの取り組み成果(経年比較・国別)
(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA),「IPA DX動向2025」,(2025年6月).図表1-7)

 DXの取り組み成果が「わからない」と回答した企業に対する、その理由についての調査結果を見ると、「DXの成果目標を定めていない」、「成果の評価はこれから進める予定」との回答が多くなっています。

 目標が定められていないため、成果が創出されたとしても、それを適切に評価することが困難となっていることが考えられます。まず、適切な目標を設定することが求められるのではないでしょうか。

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DXの成果がわからない理由
(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA),「IPA DX動向2025」,(2025年6月). 図表1-10)

日・米・独「経営者のITリテラシー」の差はどれくらい?

 DXの推進にあたっては、経営層の積極的な関与が必要となると考えられます。経営者のデジタル分野についての見識の有無についての調査結果を見ると、「十分に持っている」、「まあまあ持っている」の合計は米国で77.5%、ドイツで73.9%であるのに対して、日本は40.2%となっています。

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