- 2025/09/30 掲載
【完全版】あまりに凄い「Devin」の実力、CEOに聞いた「開発AIエージェント」の正体(2/2)
Devinと人間の役割分担
すでに多くの人がDevinの助けを借りることで、これまで以上に多くの作業をこなし、より多くのものを作り出せるようになっています。そして私たちは、Devinを今後さらに高機能なAIエージェントへと進化させていきたいと考えています。ただ、私がとても面白いと思っているのは、AIが最も得意とするのは、繰り返しや定型的な作業であるという点です。たとえば実装やデバッグ、テスト、ドキュメント作成などがそれにあたります。
一方で、「何を作るのか」を決めること、戦略的な意思決定やシステムアーキテクチャーの設計、トレードオフの判断、プロダクトの方向性といった高次の判断は、やはり人間の役割だということです。
だからこそDevinだけではないですが、今後のエンジニアは、単なる実装スキルではなく、そうした上位概念への理解と判断力が求められると思います。私たちは、人々がこれからさらに多くのものを生み出していくことに大きな期待を抱いています。
Devinの活用事例2つ
現在、Devinはグローバルで何千もの企業に導入されています。その導入先は、ごく小規模なスタートアップから世界有数の大手銀行まで多岐にわたります。■Nubank(ブラジル)
たとえば、ブラジルに本社を置き、ラテンアメリカ最大級のフィンテック企業であるNubank(ヌーバンク)では、すでに1年以上にわたってDevinを活用しています。数百万行にも及ぶコードのETL(Extract、Transform、Load)マイグレーションやバージョンアップで大きな成果を出しました。
従来のこの作業では、1000人以上のエンジニアが1年以上という非常に多くの時間をかける必要がありました。特にコード移行の作業はエンジニアが嫌がる単調かつ反復的な作業ばかりです。このプロジェクトにDevinを活用することで、移行速度は8~12倍、コストも1/20に低減されました。
ヌーバンクではそのほか、.NET(デスクトップ、ウェブ、およびモバイルアプリケーションを構築するためのオープンソースプラットフォーム)のアップグレードといった業務でも活用しています。
■wevnal(東京)
さらに、東京発のスタートアップで、マーケティング支援チャットボット「BOTCHAN」の開発・運営などを手掛けるwevnal(ウェブナル)もAI開発でDevinを多用しています。この会社はもともと広告代理業から始まったこともあり、エンジニアリングに強みのある企業ではありませんでした。
そこで積み重なった技術的な負債により、開発サイクルの遅延や不具合の発生につながっていました。またエンジニアの採用も大きな課題となっていました。そうした状況の中でDevinを導入しました。
最近の調査では、同社のコード全体のうち39%がDevinによって書かれていることがわかっています。しかも、その生成されたコードはいずれも本番環境向けのコードでした。技術的な負債の解消にもつなげながら、エンジニアはより集中すべき仕事をできるようになっています。
進行中の「2つのアップデート方針」
私たちはDevinのさらなる進化に向けた開発に力を注いでいます。より簡単かつ効果的にソフトウェア開発を行えるようにすることが、私たちの一貫した目標です。現在進めている改善は、大きく2つです。
1つ目は、Devin自身の能力をさらに高めること。たとえば、ツールの使い方がより巧みになることや、計画立案や意思決定において一段と優れた判断ができるようになることなど、いわば“賢さ”の向上です。
この分野では、Devinにコードベース全体を深く理解させるための機能を多数導入しています。過去のコミット履歴や既存のドキュメント、コード内のリファレンスなどを横断的に把握し、内部で構造的に整理する仕組みによって、Devinはより精度の高い判断と実装ができるようになっています。
もう1つは、人間とのやり取りのモデルを進化させることです。たとえば、最近リリースした「信頼度モデル」は、Devinがタスクの理解状況を可視化する仕組みです。ユーザーがタスクを与えると、Devinはそのタスクに対する理解度を緑・黄・赤の3色で表示します。緑は自信を持って進められる状態、黄や赤は不明点があるため確認が必要であることを示しています。
このようなフィードバックによって、人間はDevinとより円滑に、安心して協働できるようになります。こうした改善を重ねることが、次の時代のソフトウェア開発にとって不可欠だと考えています。
まとめ:Devinに託した「未来のビジョン」
ソフトウェア開発の分野は、「ソフトウェアエンジニアリング」「プログラミング」「コーディング」など、さまざまな言葉で表現されていますが、その本質は、コンピューターにやるべきことを正しく指示するというシンプルな目的にあります。私たちは、AIにソフトウェアの作り方を教え、その力を借りて、より多くの人がより多くのソフトウェアを生み出せる時代を目指しています。誰もが自分のアイデアをコンピューターに伝え、自由に形にできるようになる世界──それが、私たちがDevinに託している未来のビジョンなのです。
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