- 2025/11/21 掲載
欧州のVC・PE投資家がガチ査定、日本のスタートアップは結局「高い」のか「安い」のか(2/3)
どう判断すべき?日本のスタートアップの秘めたる実力
日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)会長の郷治友孝氏は、日本の科学とテクノロジーのポテンシャルは非常に高いと指摘する。「ご存知の通り、日本はノーベル賞受賞者数が世界で2番目に多い国です。近年では、大学が新しいスタートアップを生み出すことに非常に積極的になっています」(郷治氏)
さらに郷治氏は、特許の申請数を見ると東京や大阪などの都市圏に特許の申請数が集中していることを挙げ、日本にはイノベーションの源泉が豊富にあることがわかるとも指摘する。
こうした状況を踏まえた上で、投資家はスタートアップをどう評価しているのだろうか。
アイゼンシュテッケン氏が非常に重要なこととして挙げるのが「創業者チームを信頼できるかどうか」という点だ。買収のチャンスを提示されたときに、創業者チームが目先の利益に惑わされず、より大きな未来を描いて「ノー」と言えるかが大切だという。
一方シュミット氏は、評価プロセスにおいてAIを積極的に活用していると明かす。たとえば、AIツールを使って企業データを分析し、有望な投資先を見つけ出すほか、知的財産、特に特許の価値を評価する際にもAIは役立つという。
日本のテック銘柄は「割安」か「割高」か
スタートアップが資金調達を試みる際に重要になるのが、バリュエーション(企業価値評価)だ。日本のテックスタートアップは、世界的に見て果たして割安と割高どちらなのだろうか。シュミット氏は、決まったバリュエーションはないと話した上で、高く設定しすぎることは後々のリスクにつながると話す。
「私は「ユニコーン」という言葉も好きではありません。それは実在しない動物ですから。大切なのは、実態に合った正しい金額で評価することです」(アイゼンシュテッケン氏)
一方、郷治氏は、日本のスタートアップは、グローバル展開を視野に入れていないと、どうしてもバリュエーションが割安に見られがちだと警鐘を鳴らす。
「だからこそ、日本の優れた科学技術とグローバルな資本をいかに早く結びつけるかが重要になります」(郷治氏)
シュミット氏はさらに、重要なのはバリュエーションの金額そのものではなく、誰を投資家として迎え入れるかだとも話す。
「ただ資金を出すだけでなく、知識やネットワークを提供し、会社を次のステージへと導いてくれるパートナーを選ぶべきです」(シュッミット氏) 【次ページ】西海岸スタートアップを「真似する必要なし」と言えるワケ
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