- 2025/10/29 掲載
「AIリストラ」が加速──アマゾン1.4万人の大量削減に見る“仕事の再定義”
アマゾンショック1.4万人削減の衝撃と「AI経営」への転換点
アマゾンが世界のコーポレート部門(管理部門)で約1万4000人の削減を発表した。「生成AIの活用拡大に伴い、一部の業務で人員最適化が必要」とする説明とともに行われ、対象者には90日間の社内公募期間が付与されたという。直近の総従業員数は約155万人、そのうちコーポレート部門は約35万人と言われる。1万4000人はその約4%に当たり、22~23年の通算2万7000人削減に次ぐ規模だ。
背景には、アンディ・ジャシーCEOが6月の社内メモと外部発言で繰り返した「生成AIとエージェントの導入により、今後数年でコーポレートの人数は減る」という見立てがある。
同社はAWSのAI向け設備や自社半導体への投資を強め、25年の年間投資額は約1,000億ドル規模に達する見通し。
生成AIの実装で最初に「要不要」が問われるのは、反復・定型の情報処理だ。調達、経理、人事オペレーション、法務ドキュメンテーション、CSの一次対応、商品ページ生成など、エージェントが“下書き→人が検証”で回せる領域は広い。ジャシー氏の“予告”どおり、組織の階層や承認プロセスが厚いほど、AIで効率化できる余地が大きい。
アクセンチュア、グーグル、マイクロソフト…広がる“AIリストラ”
この流れはアマゾンだけではない。アクセンチュアは「AI時代に再訓練できない人材は段階的に“エグジット”させる」とし、直近3カ月で1万1000人超の削減を明らかにした。同社はAI関連の受注を拡大させる一方、需要の弱い領域では構造調整を続ける。選別軸は「AIで価値を出せるか」だ。マイクロソフトは7月に全体の4%にあたる9000人の削減を決めている。5月に発表した約6000人の削減に続くもので、累計で約1万5000人の人員を削減し、AIへの投資拡大、組織再編などを行うという。
メタは10月、AI部門で約600人の削減に踏み切った。研究(FAIR)やプロダクト系の一部に及ぶが、新設の次世代モデル開発チームは対象外とされた。グーグルも25年2月、クラウド部門や人事などで選択的な削減を実施。規模は限定的だが、AIインフラ投資へ資源を寄せる再配分が続く。
テック大手にとって「AI×効率化」はもはや常識であり、次は金融・メディア・小売といった“ホワイトカラー比率の高い産業”に波及することになりそうだ。 【次ページ】アマゾンが進めるさらなるAI効率化、何が消えて何が残る?
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