- 2025/12/16 掲載
NVIDIA オープンソースAI戦略の一環として、ハイパフォーマンスコンピューティング分野のAIソフト開発会社「SchedMD」を買収
AIデータセンターなどハイパフォーマンスコンピューティングにおけるオープンソースのソフトウェアエコシステムの強化
SchedMDは2010年に設立され、本社を米国カリフォルニア州リブモアに置いている。Slurmは大規模な計算資源を管理するためのスケジューラーとしてスーパーコンピュータやクラウド環境で幅広く採用されており、AIモデルの訓練や推論といった計算集約型の作業においてリソース配分やジョブ管理を最適化する役割を担っている。世界の複数の研究機関・企業がSlurmを利用している実績があり、SchedMDの顧客にはクラウドインフラ企業やスーパーコンピューティングセンターが含まれる。
今回の買収は、NVIDIAが自社のAIプラットフォーム戦略の中でソフトウェア面の強化を図る動きの一環と位置づけられている。NVIDIAはこれまでに高性能GPUと独自のプログラミング環境であるCUDAを提供し、AI開発者コミュニティに幅広く採用されてきたが、オープンソースソフトウェアの充実は競合他社との差別化につながるとみられる。NVIDIAが買収発表と同日に公開したブログでは、Slurmが最新のNVIDIAハードウェア上でもサポートされること、また大規模AIモデルのトレーニングや推論のニーズに対応するための重要な基盤技術であることが強調された。
NVIDIAは近年、AI技術のエコシステム全体を強化するために複数の買収や投資を進めており、ソフトウェア分野への戦略的な拡大を図っている。これにはクラウドインフラ関連の企業買収やオーケストレーション技術の取り込みなどが含まれてきた。今回のSchedMD買収も、AIモデル訓練システム全体の効率化や開発者支援ツール強化に直結すると見られる。
市場の反応として、買収発表後にNVIDIAの株価は小幅に上昇したことが報じられている。株式市場では、ソフトウェア資産の拡充がNVIDIAのAI関連ビジネス全体の競争力を高める要因として評価されている。特にクラウドサービスプロバイダーやAI開発企業は、GPUハードウェアだけでなく効率的なリソース管理とジョブスケジューリングの需要が高まっており、これらを支えるソフトウェア基盤の強化は事業戦略上の重要性を持つとみられている。
買収後もSlurmはオープンソースとして自由に利用可能であり、NVIDIAはコミュニティとの協力を続けながらソフトウェアの開発支援や機能拡充を進める方針だ。これにより、企業や研究機関が保有する多様なハードウェア環境でもSlurmが引き続き使われることが期待されている。今回の買収により、NVIDIAはAIソフトウェアとハードウェアの統合的な提供体制を強化し、AIインフラ市場における存在感をさらに高めることになる。
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