• 2025/12/20 掲載

ディズニーはOpenAIに何を「差し出した」のか?日本企業が無関係でいられないワケ(2/2)

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日本企業の「足かせ」となるもの

 日本のコンテンツ企業が同様の決断を下す際、最大の障壁となるのは組織構造だ。法務部門は著作権侵害や契約リスクを指摘し、制作現場は創作の自由が制限されることを懸念する。経営層は、ファンやクリエイターからの反発、いわゆる炎上を恐れる。

 日本企業は、「やらない理由」を積み上げるプロセスには長けている一方で、「管理を一部手放す覚悟」を経営判断として引き受ける経験が乏しい。ディズニーは反対意見が出ることを織り込んだうえで、最終的な責任をトップが引き受けた。その差は小さくない。

 加えて、日本では制作委員会方式など、権利が複数企業に分散しているケースが多い。AI企業と包括的な提携を結ぼうとしても、利害調整に時間を要する。ディズニーのように単独で迅速な意思決定ができる体制とは条件が異なる。

それでもディズニーと同じ選択を迫られる未来

 生成AIの進化が続けば、IP企業は3つの選択肢に直面する。全面的に排除を試みるか、無秩序な利用を黙認するか、条件付きで活用を認めるかだ。排除は現実的に難しく、黙認は価値の毀損を招く。残るのは、提携を通じてルールを作る道となる。

 ディズニーの決断が最適解だったかどうかは、数年後にならなければ分からない。AIが生み出す派生コンテンツがブランド価値を高めるのか、逆に希薄化させるのかは検証が必要だ。ただ一つ確かなのは、判断を先送りすれば、主導権はAI企業側に傾くという点だ。

 日本のIP企業も、いずれ同じ局面に立つ。生成AIを敵視し続けるのか、使わせる側に回るのか。ディズニーがOpenAIに差し出したのは、単なるキャラクターではなく、未来のビジネスモデルを選ぶ覚悟だった。その問いは、すでに日本にも届いている。

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