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  • 2026/01/15 掲載

なぜ『サクラ大戦』『天外魔境』は和風テイスト?作者広井氏が明かす…設定の深い狙い

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『天外魔境』と『サクラ大戦』は、なぜあの世界観になったのか。剣や魔法が登場するような王道ファンタジーでもない。「和のテイスト」を選び、あえて現実とはズレた日本像を作品の中に描いた理由は何だったのか。キャラクターはどのように設計され、物語はどこから立ち上がったのか。今回、あの名作たちの制作の裏側を広井王子氏に話を聞いた(取材協力:Puri Prince Inc.中山雅弘)。
聞き手・執筆:エンタメ社会学者、Re entertainment代表取締役 中山 淳雄

エンタメ社会学者、Re entertainment代表取締役 中山 淳雄

東京大学大学院修了(社会学専攻)。カナダのMcGill大学MBA修了。リクルートスタッフィング、DeNA、デロイトトーマツコンサルティングを経て、バンダイナムコスタジオでカナダ、マレーシアにてゲーム開発会社・アート会社を新規設立。2016年からブシロードインターナショナル社長としてシンガポールに駐在し、日本コンテンツ(カードゲーム、アニメ、ゲーム、プロレス、音楽、イベント)の海外展開を担当する。早稲田大学ビジネススクール非常勤講師、シンガポール南洋工科大学非常勤講師も歴任。2021年7月にエンタメの経済圏創出と再現性を追求する株式会社Re entertainmentを設立し、大学での研究と経営コンサルティングを行っている。『推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』(日経BP)、『オタク経済圏創世記』(日経BP)、『ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか』(PHPビジネス新書)など著書多数。

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広井王子(ひろい・おうじ)氏
マルチクリエイター
1954年東京都墨田区向島生まれ。日本の漫画、アニメ、ゲーム、実写ドラマなどの原作を手掛けるマルチクリエイターであり、舞台演出家。独自の手法でオリジナル・キャラクターを作り上げる。ロッテオマケ企画からスタートし、新しい企画集団レッドカンパニーを創設。「ネクロスの要塞」「魔神英雄伝ワタル」「天外魔境」「サクラ大戦」などで知られており、2025年には市川團十郎出演 JAPAN THEATER『SEIMEI』の演出を担当。幅広いフィールドで活躍することから、日本のエンターテインメント業界に多大な影響を与えている。

ユーミンの番組も抜いた?広井王子氏の人気ラジオの裏側

──『天外魔境』(1989年発売・PCエンジン/開発:ハドソン)が大ヒットしていた時期に、ラジオ番組も始められていますよね。

広井王子氏:文化放送で放送していた『広井王子のマルチ天国』(1994~2000年)は、実は『週刊ファミ通』(KADOKAWA系のゲーム雑誌)の編集長だった浜村弘一さんとケンカしたことがきっかけではじまりました(笑)。

 私は、もともとゲーム批評の人たちが気に食わなかった。評論家なら顔を出して、新宿で殴り合いしろ!と思っていましたからね。現代で言うX(旧Twitter)じゃないですが、名前も顔も明かさず、好き勝手に人が手がけたゲームを批評するってのはどうなんだ、と思っていたわけです。

 だから、批評家が顔出しをしないなら、ファミ通にはROMは渡さない(ゲームメーカーは完成したゲームのROMを、事前にファミ通などの雑誌社に送り、ゲームのレビューを書いてもらい宣伝してもらう仕組みを採っていた)と突っぱねていました。

 後に、Vジャンプ創刊のとき、鳥嶋和彦編集長が、ゲームのレビューに加えて、実際のプレイ時間を誌面に載せるという大英断を下してくださいました。

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──玩具から始まり、アニメ、ゲーム、そしてラジオパーソナリティへと活躍の場を広げてこられました。広井さんの30代後半は、まさに“黄金時代”と言えそうですね。

広井王子氏:そう見えるかもしれませんが、ラジオパーソナリティとしては、最初の半年くらいは試行錯誤の連続で、正直、失敗も多かったですね。そもそも放送時間が夜7時半という中途半端な時間帯だったし、私自身、「パーソナリティとは何をする人なのか」もよく分かっていなかった。

 声の出し方1つとってもダメで、諸先輩方に鍛えてもらいながら、少しずつ改善していきました。たとえば、「間」の取り方が大事だとか、リスナー全体に向かって話すのではなく、見えないけれど“1人ひとりに話しかける”感覚がいいとか。「みなさん!」と呼びかけるより、「君さあ」と喫茶店で話しかけるような距離感がいい、という教えですね。

 当時のプロデューサーだった片寄好之さんが思い切って深夜帯に放送時間を移したんです。そのことで、表現の幅も広がって、ちょっと大人な話もできるようになったんです。

──大人気のラジオだったと聞きます。

広井王子氏:今の感覚で振り返ると、なかなか際どいノリだったと思いますし、謝っても謝りきれない部分がありますが、ある回で、ゲストとのやり取りの流れの中で、思わず少し踏み込んだ質問を投げかけたことがあったんです。

 こちらとしては、軽く受け流されるものだと思っていたのですが、彼女が即座にユーモアたっぷりに答えてくれました。そのやり取りが、思いがけずリスナーの心をつかんだようでした。

 すると翌週、文化放送には驚くほど多くの反響が寄せられました。そのとき、「ラジオというメディアが持つ、リスナーとの距離の近さ」を強く実感しましたね。

 その流れから生まれたのが、ラジオドラマ企画の「黒パンの女王」です。これも大きな反響を呼び、当時トップクラスの聴取率を誇っていた松任谷由実さんの番組を上回る結果となり、最終的にはギャラクシー賞までいただくことができました。

ラジオから学んだ「キャラクターの重要性」とは?

──たった一言の会話から、ラジオでも天下を獲ってしまうとは!

広井王子氏:そこで改めて思ったのは「キャラクターの重要性」なんですよね。いかにキャラを印象付けるかが一番大事なところで、そのキャラクターの背後にあるドラマなんて二の次なんですよ。

 アニメになっても、ゲームになっても、玩具になっても“同じ魅力が伝わるキャラクター”を作ることを、この当時から意識してやってきました。ただ、その作り方は時代とともにどんどん進化しますよね。

 たとえば、アニメや玩具くらいで完結していた時代は、まだシンプルで良かった。でも、メディアが次々と増えていくにつれて、求められる作業量も一気に増えました。「設定資料はどうなっているんだ?」「じゃあ、ちゃんと作ろう」「ゲームではどう使う?」「じゃあ、遊び方のルールも決めよう」といった具合に、対応しなければならない項目がどんどん積み重なっていく。

 そうして今では、一つのキャラクターコンテンツを作るだけで、関わる範囲や準備しなければならないものが、昔とは比べものにならないほど広がっています。そこが、現在のキャラクターコンテンツの大きな特徴だと思いますね。

SEGAとの仕事が始まったキッカケ

──広井さんは、広告代理店のADK(旭通信、現・ADKホールディングス)と非常に深い関係で仕事をされていた印象がありますが、その関係はいつ頃まで続いたのでしょうか。

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