- 2025/12/21 掲載
官民で「国産AI開発」を本格化、5年で1兆円支援へ ソフトバンクなどと新会社設立構想
世界クラス1兆パラメーターのAIモデル開発、日本独自「フィジカルAI」の実現へ
これを受け経済産業省は、国産AIの研究開発力を強化するため、2026年度から5年間で総額約1兆円規模の公的支援を行う計画を進めている。政府は近く、有識者会議で政策方針の大枠を公表する予定で、2026年度予算案には関連経費として約3000億円を計上する方向だ。財源にはGX経済移行債を充て、低消費電力で稼働するAI基盤モデルの開発を支援する。
この取り組みの中核として、ソフトバンクを中心に日本企業10社以上が出資する新会社の設立構想が浮上している。新会社は汎用性のある基盤モデルを開発し、その後、民間企業が求める用途に応じて応用する形を想定している。開発したAIは利用料を得る事業モデルとし、投資規模に見合う収益確保を目指す。またソフトバンクは、26年度から6年間でAIの学習・開発に使うデータセンターに2兆円を投じる見込み。
開発体制には、ソフトバンクやプリファードネットワークスなどから約100人規模の技術者が関与する計画で、AI性能の指標となるパラメーター数は国内最大級となる約1兆を目標に掲げる。開発に必要な高性能半導体や計算資源などの多額の投資については、国が一定部分を補助する。
政府は、日本が強みを持つ製造業などの現場に蓄積された産業データをAI開発に活用することを重視している。米国や中国の企業が投資規模と技術力で先行する中、日本の産業データが海外勢に流出しかねないとの危機感が背景にある。こうしたデータを国内で活用し、ロボットや機械を自律的に制御する「フィジカルAI」の実現につなげる狙いだ。
支援は一括ではなく段階的に行われ、2026年度以降は毎年、開発状況を確認した上で、技術水準が一定に達していると判断された場合に追加投資を行う仕組みを採用する。国産AIの開発・提供に必要なデータセンターについては、ソフトバンクが2026年度までの稼働を予定している北海道苫小牧市および大阪府堺市の施設が候補とされている。
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