- 2026/05/19 掲載
サントリー元副社長の「人たらし術」をAIで再現…誰からも信頼される“神プロンプト”(2/2)
(1)最初の入力
・私は {{ユーザーの本件に関わる立場や専門性など}} です。立場や専門性について、初めてAIに指示する場合は簡単な背景説明を補足すると精度が上がります。
・現在想定しているイノベーションのシナリオは {{シナリオ(ビジネスモデルなどのフレームワークで記述)}} です。
・会う相手は {{会う相手の情報}} です。
・会う相手から得たい情報は {{シナリオ実現のために得るべき情報}} です。
上記の前提を踏まえ、以下の3点を整理してください。
① 相手から得るべき情報とその活用方法を示して(私が示した「得たい情報」を含めて考えてください)。
② 相手が悩みや問題を話す場合に、それを理解するための相手の背景情報や、私が最低限知っておくべき専門知識を教えてください。
③ 相手の悩みや問題の想定と、こちらから提供するべき情報や助言、意見を提案してください。
「相手から得るべき情報」が特定できるよう、「ⅰ.ゴール」「ⅱ.生み出す価値」「ⅲ.ゴールの背景」「ⅳ.ゴール実現の課題と解決策」「ⅴ.実現までの方法」を論理的に記述すると効果的です。
【補足】誰に会うべきか迷っている場合
懇親会などで会える相手が複数いる場合や、アプローチすべきキーパーソンが分からない場合は、上記のプロンプトを実行する前に、以下のプロンプトで優先順位を確認するのがおすすめです。
・今回会うチャンスがある人は {{会える場、会える相手の組織や参加者リスト、対象部門など}} です。
会うべき相手と優先順位を教えてください。(写真がWeb上で公開されていればその情報も示してください)。また、その相手ごとに、上記①~③の要素を出力してください。
(2)AIの回答の評価と拡充
AIから出力された内容を確認し、実情と異なる点やさらに深掘りしたい点があれば、以下のように追加のプロンプトを入力してブラッシュアップします。
・ {{事実誤認の内容}} は事実誤認です。正しくは {{訂正情報}} です。
・ また、検討に必要な追加情報として {{追加情報}} があります。
・ 出力された①~③について、{{違和感、別視点、論点など}} の観点からさらに検討を深めてほしいです。
これらを基に、再度①~③を検討して出力してください。
(3)人間側のプロセス(実践)
AIを使って出力した①~③のポイントを、面談前にしっかりと頭に入れておきます。その上で、実際の面談では以下のステップを意識して会話を進めます。
- 相手の話題に合わせて悩みや問題を聞き出し、助言を提供する(価値のギブ)
- 自分にとって重要な「相手から聞きたいこと」をヒアリングする(情報のテイク)
- 必要に応じて自分のシナリオを開示し、フィードバックを得てシナリオを拡充する(シナリオの進化)
成功要件:トップ人材が大事にする「信念」と「礼儀」とは
プロンプトによる準備は強力な武器になりますが、辻村氏はこれを実行する上で「信念」と「礼儀」が不可欠だと語っています。辻村氏が健康食品事業の立ち上げに携わった当初はプロセスエンジニアでしたが、「この事業をリードして花開かせたい」という強い信念のもと、専門外の成分メカニズムに関しても猛勉強し、研究者たちと対等に議論を交わしました。当時の売上は数億円規模でしたが、その熱意が多くの関係者を巻き込み、後に731億円(2014年度)の巨大事業へと成長する原動力になったのです。
また、辻村氏は社外のパートナーに対しても礼儀とホスピタリティを持つことの重要性を強調しています。
「原料メーカーさんが来られた際も、互いに知恵を出し合う仲間であり、一歩会社を出れば自社のお客様でもあります。天才肌の研究者の中には、そうした人付き合いを軽視する人もいるかもしれませんが、それは大間違いです。人を大切に思い、対等に付き合うことこそが、すべての出発点になります」(辻村氏)
“良い質問”が出る、人脈づくりに使える「プロンプト実践例」
読者の皆さんが具体的なイメージを持てるよう、プロンプトの入力例をご紹介します。【設定】
食品会社の研究所部長が、ノーベル賞受賞者である大隅良典氏(分子生物学者)へ表敬訪問を行う際の事前準備。
・私は、食品会社の研究所の部長です。このように入力することで、AIが「大隅氏の専門(オートファジーなど)と自社の課題の結びつき」「相手が抱えているであろう基礎研究への課題感」「面談時に投げかけるべき具体的な問い」などを論理的に整理して出力してくれます。
・現在想定しているイノベーションのシナリオは、「微生物を使った物質生産において、研究室ではうまくいったものを生産現場でスケールアップした際、想定していた収率(生産性)が得られない」という問題に対し、現場の経験やノウハウに頼るのではなく、科学的に原因を追及して根本的な解決策を講じることです。
・会う相手は、ノーベル賞受賞の分子生物学者、大隅良典氏です。当社が大隅氏の財団を支援するにあたり、担当役員とともに表敬訪問を行います。
・会う相手から得たい情報は、上記シナリオに関して「特に重点的に追求すべき科学領域を俯瞰的に想定できる視点」です。
上記の前提を踏まえ、以下の3点を整理してください。
① 相手から得るべき情報とその活用方法を示して(私が示した「得たい情報」を含めて考えてください)。
② 相手が悩みや問題を話す場合に、それを理解するための相手の背景情報や、私が最低限知っておくべき専門知識を教えてください。
③ 相手の悩みや問題の想定と、こちらから提供するべき情報や助言、意見を提案してください。
まずは「自分なりのシナリオ」を入れてみよう
いかがでしたでしょうか。イノベーターの思考プロセスをAIで再現することで、面談前の準備の質は劇的に変わります。
使い方はとてもシンプルです。まずは今回ご紹介した「プロンプトの雛形」をコピーして、ご自身の「立場」や「今描いているシナリオ」「次に会う予定の相手」を当てはめてみてください。
「完璧なシナリオなんてまだない」という状態でもまったく問題ありません。まずはAIという壁打ち相手に情報を投げ込み、対話を通じて「自分なりのシナリオ」の解像度を上げていくことが第一歩です。
相手の背景を理解し、提供できる価値を準備する。そのプロセスの積み重ねが、あなたを確実に関係者から「また会いたくなる人」へと導いてくれるはずです。しかも、ここまで丁寧に取り組む人は決して多くありません。だからこそ、それが自身の強みになり、また競争相手よりも早く詳しい情報を得ることにつながり、自社の差別化とイノベーション実現の源泉になります。
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