- 2026/07/12 掲載
AIで「均質化」する世界で、「アンチオルカン」思考が生む“人間の価値”(3/3)
AIによる「個別最適化」で社会は分断されるのか
僕は、AIの普及がそのまま社会の調和につながるとは限らないと感じています。むしろ気になっているのは、AIが価値観の先鋭化を後押しし、社会の分断を強めてしまう可能性です。
AIの基本的な性質は「最適化」にあります。
個人に寄り添うように設計されたAIは、その人の好みだけでなく、ものの見方や判断基準まで学習し、それに合った答えを返そうとします。
それ自体は便利です。
しかし、自分に合った答えが返り続けるということは、裏を返せば、自分の価値観が補強され続けるということでもあります。
その結果、これまで人間の対話の中にあった「揺らぎ」や「曖昧さ」が少しずつ失われていくかもしれません。
「自分とは違う考え方もある」そうした余白は、非効率に見えて、実は共生にはかなり重要です。
「そこは簡単に白黒つけなくてもいい」
けれども、AIが個人ごとに最適化を進めるほど、その余白は削られやすくなります。
AIがそれぞれのユーザーの正しさを磨き上げていく世界では、人はより「正しい個人」にはなれても、社会全体としては、互いに噛み合わないまま離れていくかもしれません。
問題は、誰かが悪意を持っていることだけではありません。
だからこそ僕たちは、テクノロジーのロジックとは別のところに、意識的な緩衝材を持つ必要があります。
異なる立場に触れること。
少し不便でも、すぐに最適化しすぎないこと。
曖昧さや余白を、単なるノイズとして切り捨てないこと。
そうした態度がなければ、AIは僕たちをますます「正しい個人」へと導く一方で、「一緒に生きられる社会」の土台を削ってしまうかもしれません。
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