- 2026/06/17 掲載
【50種一覧】AIエージェント選び「失敗する」前に…ガートナー流 4分類と“課金の罠”(2/2)
【50種図解】乱立するAIエージェント製品、4分類と判断軸
AIエージェントツールのリリースが相次ぐ一方で、それが製品ごとの機能の違いを見えにくくさせていると桂島氏は現状を解説する。現時点でAIエージェントツールは次の4つに大別できるという(図1)。特定の目的特化型の既存ツールに組み込まれた、特定業務のための「事前構築済みのエージェント」。目的別のワークフローが事前に用意され、迅速に利用に乗り出せる半面で、すでに機能が作り込まれているため、ツールによる他社との差別化は困難である。
(2)ノーコード・エージェントビルダー
ノーコードでAIエージェントの開発が可能な「ノーコード・エージェントビルダー」。専門知識が不要で現場主導の開発が行えるため、スクラップ&ビルドにより各種のPoCなどで活用できる。業務を広範にカバーするため、業務をまたぐプロセスのガバナンス確保にも有効である。
(3)エージェント開発プラットフォーム
既存のアプリケーションの基盤に用意されたAIエージェント機能である「エージェント開発プラットフォーム」。既存業務のワークフローで利用できるため、AIエージェントと既存システムとの統合が容易かつ、各種のアクセス制御も比較的行いやすい点がメリットだ。
(4)エージェント・トレーニング・プラットフォーム
AIエージェントのふるまいの定義が可能な開発者向けの「エージェント・トレーニング・プラットフォーム」。最も開発の自由度が高い半面で、使いこなしに高度な専門知識が不可欠である。
そのうちどれを選択すべきかの判断軸となるのが、「構築か購入か」「サポートする自律性レベル」「セキュリティ/ガバナンス機能」「既存テクノロジースタックとの統合の容易性」「価格設定モデルとROI」などである。
- 構築か購入か
- サポートする自律性レベル
- セキュリティ/ガバナンス機能
- 既存テクノロジースタックとの統合の容易性
- 価格設定モデルとROI
「最も配慮を払うべきは、セキュリティ/ガバナンス機能と価格設定モデルです。前述の通り、AIエージェントの利用拡大に向け、セキュリティ/ガバナンスの確保は欠かせません。AIエージェントの価格設定によっては、利用料が跳ね上がってしまいます。現状、AIエージェントは現場主導で利用が拡大していることを踏まえれば、比較的知識が乏しくても活用に乗り出せる事前構築済みエージェントかノーコード・エージェントビルダーが現実的な選択でしょう」(桂島氏)
「使用量ベース課金」が招く…エージェント型AIの落とし穴
エージェント型AIの活用に向けては、ガバナンス以外にも課題が残されている。たとえばエージェントの振る舞い高度化に向けた外部との統合だ。そのために、エージェント同士や外部アプリの統合の技術的な仕組みやプロセスのほか、指示を適切に理解し、処理に最適なデータへのアクセスを実現するための、データアクセスとセマンティックの統合レイヤーを新たに用意することも必要になるという。
また、コスト最適化に向け、エージェントの価値の適切な見極めも欠かせない。その実現に向け、コストの可視化とともに、価値に基づく適切なコスト管理のための利用制御の仕組みも必要となる。
コストに関して、現在、主流の価格の設定方法がアクション/ワークフローごとに価格を設定する「使用量ベースの価格設定」だ(図2)。
使用量ベースの価格設定は、作業完了までのコストと整合性が高く、また、ビジネスに応じてユーザー側が利用規模を柔軟に調整できるのがメリットだ。
ただし、複数のエージェントを利用する場合、社内的なコスト追跡、ひいてはコスト負担の配分が難しく、負担を嫌う部門の抵抗により、利用が進まないリスクも残されている。なお、この設定方式では思わぬ使い方に起因するコストの急増が懸念され、そうした状況の回避に向け、何らかの統制の仕組みが欠かせない。
「ここにきて、エージェントごとの価格設定もまだ少ないですが登場しています。エージェントをデジタル従業員と見立て、その働きに見合う値付けを行うアプローチです。ただ、難点はビジネスで生み出す価値評価が一筋縄ではいかず、価格設定が困難になりがちなことです。この発展形として成果ベースの価格設定という考え方もありますが、同様の理由で実証にまでは至っていません」(桂島氏)
AIエージェント導入は何から始めるべき?ガートナー推奨手順
エージェント型AIのメリットと課題を踏まえ、ガートナーでは次のように活用を進めることを推奨している。まずすぐにでも取り組むべきが、導入に向け小規模な部門横断チームを編成し、大きなビジネスインパクトが期待されるユースケースを特定し、事前構築済みエージェントやノーコードビルダーによる試験運用を実施する。その過程において、ガバナンスとガードレールを整備し、その運用に向けた体制を構築する。
次が、AIエージェントのテクノロジー理解に関する深化だ。そこで投資対効果を最大限に引き出せるよう、継続的にトレーニングを実施する。
最後が、より最適なデータ利用などに向けたナレッジグラフや社内システムとの統合である。このフェーズでは、引き続き、エージェント型AIの技術トレンドや手法を調査し、得られた知見を自社のエージェント戦略にフィードバックする。
「エージェント型AIの成功事例はまだ多くは登場していません。その中でまずは小さくてもいいので成果を得られるよう、比較的単純かつ、判断に多くのデータが必要なタスクから活用を始めるのがいいでしょう。そこではガバナンスリスクの低減に向け、ガードレールをしっかりと設定し、エージェントによるビジネス成果を可視化するためのツールも導入すべきです。そのうえで、技術革新が急速に進む中、エージェント戦略の見直しを続けます。特に最後を怠っては、より大きな成果は望み薄なことを肝に銘じておくべきです」(桂島氏)
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