- 2026/08/08 07:10 掲載
【研究で判明】有名企業の実例も…「パワハラが起きやすい職場」の共通点(2/3)
残業が長い人ほどパワハラを受けやすい…調査で見えた関係
業務負担の多さとハラスメントとの関係は、国内外の調査で一致した結果が得られています。日本の調査でも、残業時間が長いほどハラスメント経験率が高いという結果が報告されています(注7)(図2)。サービス残業を行う人ほどハラスメント経験率が高いことも特徴です。日本の建設業エンジニア5781名を対象にした研究(注8)においても、月の残業時間が61~80時間の参加者がハラスメントを経験するリスクは、40時間以下の参加者と比べて1.45倍、月81時間以上の参加者では1.92倍と、残業時間が長いほどハラスメント経験リスクが有意に高かったことが示されています。これもまた、余裕がなくなることによる影響があります。
ただし、経営状況とハラスメントの関係は単純な比例関係ではありません。企業の経営状況別にハラスメント経験率を比較すると、経営状況が悪い企業も、良い企業も、ともにハラスメント率が上がる「U字」の傾向が見られています(注7)(図3)。
すでに説明した通り、業績悪化などにより人員削減等が行われると、他者に対する攻撃的言動が増えることが示されています。一方で、好業績時は、さらなる売り上げを求められて競争的な環境がつくられたり、成果主義度合いが高まったりすると、他者を出し抜くための戦略的手段としてハラスメントが行われやすくなることがわかっています(注9)。
忙しすぎても暇すぎても、人は攻撃的になる
業務量の適正化はハラスメント防止に有効ですが、一点だけ注意が必要なことがあります。「暇になること」もまた、職場の非生産的な行動を増やすリスクを高めるという点です。職場における非生産的な行動は「組織阻害行動」とも呼ばれ、組織的なもの・対人的なもの、そして些細なもの・深刻なものの二次元で整理できます(注10・11)(図4)。
組織的なもので些細なものは「生産の逸脱」(勝手に早退する、故意にのんびり仕事をするなど)、深刻なものは「所有の逸脱」(会社の備品を盗む・壊すなど)です。対人的なものでは、些細なものが「政治的逸脱」(同僚の噂話をする、えこひいきをするなど)、深刻なものが「個人攻撃」(ハラスメント、暴言、個人の所有物を盗むなど)です。
暇であることはいずれの組織阻害行動とも関連しており、実際に暇な従業員は他者をいじめる傾向があることが報告されています(注12)。
ハラスメント防止の観点から最も望ましいのは、従業員が「適度に仕事に集中できる」業務量が保たれた状態です。忙しすぎても暇すぎても、攻撃のリスクは高まります。 【次ページ】「成果がすべて」の職場で、パワハラが正当化される
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