- 2026/07/03 掲載
【10月施行】カスハラ・セクハラ対策 義務化で何が変わる?会社が必ずやるべき10項目
元毎日新聞記者。長野支局で政治、司法、遊軍を担当、東京本社で政治部総理官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て独立。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。自称「霞が関文学評論家」
どこからが「カスハラ」?厚労省が定義する“境界線”
これまでもハラスメントを防ぐための法律はある程度、整備されていました。今回の法改正のポイントを見る前に、そもそも職場における「カスハラ」とは、どのような行為を指すのかを確認しておきましょう。厚労省は、職場におけるカスハラを、「顧客等の言動」のうち、「その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたもの」により、「労働者の就業環境が害されるもの」と定義しています。
ただ、この定義だけでは「等」や「その他」といった抽象的な表現が多く、イメージしにくいかもしれません。それぞれの要素について具体的に見ていきましょう。
「顧客等」とは、実際に取引を行う相手のみならず、今後、商品購入やサービス利用などの可能性がある人も含みます。サービスであれば利用者に加えてその家族も、施設なら近隣住民も“等”の一部です。
「社会通念上許容される範囲を超えた言動」は、「そもそも要求に理由がない」「サービスと無関係」といった“言動の内容”と、身体的や精神的、継続的など“手段や態様”が範囲を超えたものが典型例として挙げられます。判定にあたっては、状況や関係性など、さまざまな要素を総合的に考慮することが適当ですが、“言動の内容”と“手段や態様”の一方のみでも該当しうるのがポイントです。
そして「労働者の就業環境が害されるもの」は、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、就業上看過できない支障が生じることを指します。
なお、顧客などからの苦情のすべてが該当するわけではなく、「障害者から不当な差別的取扱いをしないよう求めることや、社会的障壁の除去を必要としている旨の意思を表明すること」は、それ単体でカスハラには当たりません。また、この考え方は対面だけでなく、電話やウェブ上でのやり取りにも適用されます。
【10月から義務化】会社が必ずやるべき10の対策
このような定義のもと、改正法の施行後に義務化されるのが「事業主のカスハラ防止措置」です。事業主は5つのカテゴリーにわたる計10項目の措置を必ず講じなければいけません。まずは「事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発」。カスハラに対しては「毅然とした態度で対応し、労働者を保護する方針」を明確化して周知・啓発し、カスハラの内容に加えて、「あらかじめ定めた対処の内容」を労働者に周知することが求められます。
事前に定める対処内容としては、「管理監督者にその場の対応方針について指示を仰ぐ」「可能な限り労働者1人で対応させない」「犯罪に該当しうる言動は警察へ通報」といった具体策が示されています。なお、これらの対策を講じる際には、消費者の権利や、障害者差別解消法などに留意する必要があります。
続くカテゴリーは「相談体制の整備」で、窓口をあらかじめ定めて周知することや、窓口担当者の適切な対応を求めています。また「事後の迅速かつ適切な対応」カテゴリーでは、事実関係の迅速・正確な確認、被害者配慮の措置を適正に行う、再発防止措置を講じるといった項目が盛り込まれています。
4つ目のカテゴリー「対応の実効性を確保するために必要なカスタマーハラスメントの抑止のための措置」では、特に悪質と考えられるカスハラへの対処方針をあらかじめ定め、労働者に周知し、当該対処を行うことができる体制を整備することとしています。
そして最後の「そのほか併せて講ずべき措置」としては、相談者などのプライバシー保護のために必要な措置を講じ、労働者に周知すること。相談したことなどを理由として、不利益な取り扱いをされない旨を定めて、労働者に周知・啓発すべきことを定めています。 【次ページ】面接やインターンも対象、新たに義務化されるセクハラ対策
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