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  • 2026/09/16 07:10 掲載

なぜ生成AI活用で「チーム崩壊」…? 日本の“察する文化”が招く「落とし穴の正体」

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生成AIの導入が進めば、チームの仕事は効率化し、組織も強くなる――そう考えるリーダーは多いでしょう。ですが多くの現場では、AI活用が進むほど、これまで見えなかった問題が浮き彫りになっています。世代や経験によって異なる「当たり前」が表面化し、チームを崩壊しかねないという問題です。特に「察する文化」に頼ってきた日本企業ほど、この問題は顕著に表れます。では、では、価値観が違うメンバーをまとめて成果を出すにはどうすれば良いのでしょうか。認知科学とチームづくりの視点から解説します。
執筆:Hajime Institute/シナモン創業者 堀田 創

Hajime Institute/シナモン創業者 堀田 創

AI研究者・認知科学研究者。AI関連研究で博士号取得後、連続起業家として活躍。シリウステクノロジーズ(ヤフーにより買収)のChief Scientistを務め、ネイキッドテクノロジー(ミクシィにより買収)の創業・売却後、Cinnamon AIおよびNexus FrontierTechを設立。技術に立脚したビジネスをゼロから立ち上げ、成長・拡大・売却へと導いてきた実績を持つ。現在は、最先端のAI研究と認知科学の橋渡し役として、企業が「認知的AI」を通じてビジネス価値を最大化できるよう支援している。著書に『チームが自然に生まれ変わる――「らしさ」を極めるリーダーシップ』『ダブルハーベスト――勝ち続ける仕組みをつくるAI時代の戦略デザイン』(ともに共著、ダイヤモンド社)がある。

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生成AIを活用して成果を出せるチームの作り方とは
(画像:編集部作成)

AI活用で「チームがまとまらなくなる」納得理由

 まず、多くのリーダーが抱いている前提を疑うところから始めましょう。私たちは無意識に、「同じ会社で働いているのだから、価値観はある程度そろっているはずだ」と思い込んでいます。しかし、現実はどうでしょうか。

 1人ひとりが異なる背景や経験を持つチームでは、「常識」はかんたんに裏切られます。始業時間の捉え方、会議中の振る舞い、報告のタイミング。世代が違えば、それだけで「当たり前」は大きくずれます。氷河期世代とZ世代の間で、話がかみ合わない場面を目にした人は多いはずです。

 これまでは、その「ずれ」を「察する文化」が覆い隠してきました。言葉にしなくても、空気を読んで合わせる。日本の組織が得意としてきたやり方です。

 ところが、AIの普及がこの前提を崩します。業務が言語化され、プロンプトとして機械にわたされ、判断の一部が自動化されていく。そのプロセスでは、「なんとなく察する」余地が急速に狭まっていきます。曖昧なまま握っていた前提が、言語化を迫られた瞬間に、実は共有されていなかったことが露呈するのです。

 実際、こんな場面に心当たりはないでしょうか。

 ある業務をAIに任せようと、手順をプロンプトに書き起こそうとした瞬間、チーム内で意見が割れる。「この作業は、まず全体を確認してから進めるものだ」と言うベテランと、「いや、部分から着手して後で調整するのが普通だ」と言う若手。

 これまでは、どちらも「当然そうするもの」と信じたまま、言葉にせずすれ違っていたのです。AIにわたすために言語化しようとして、初めて前提のずれが見えた──そうした事態が、いま多くの現場で起きています。

 つまり、AI活用が進むほど、チームの「まとまらなさ」は隠せなくなります。これは危機ではありません。これまで放置してきた課題が、ようやく見えるようになった、というだけのことなのです。
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チームに潜む、2つのタイプの「落とし穴」

 では、まとまらないチームをどうすれば良いのか。手っ取り早い答えは、「価値観をそろえること」です。しかし、ここに落とし穴があります。世の中のチームは、大きく2つのタイプに分けて考えられます。

 1つは、メンバーの価値観や能力が比較的そろっている状態のチームです。私はこれを「単彩チーム」と呼んでいます。似た人材を採用したり、トップダウンで価値観を統率したりして構成される。オペレーションを正確に回すチームや、数の力で勝負する組織では、単彩チームはうまく機能します。

 しかし、単彩チームには弱点があります。全員が同じ方向しか見ていないため、想定外の変化に弱く、新しい発想が生まれにくいのです。同質性は、安定と引き換えに、イノベーションの芽を摘みます。

 かといって、多様な人材をただ集めれば良いわけでもありません。文化も価値観もバラバラな人を集めただけでは、それぞれが自分の判断で勝手に動き、チームとしてのまとまりを失います。

 表面上は当たりさわりなく会話しながら、内心では互いを信頼していない。私はこの状態を「雑多チーム」と呼んでいます。多様性が、そのままコストに化けてしまった状態です。  AI時代に目指すべきは、価値観までそろえた「単彩チーム」でも、多様な人材を集めただけの「雑多チーム」でもありません。必要なのは、異なる価値観や世代、職責を残したまま、向かう方向だけをそろえる「多彩チーム」です。

 そのためには、日本企業が頼ってきた「察する文化」から脱し、行動、その背景にある戦略・目標、ビジョン、価値観までを「4層ループ学習」で言語化して、互いの前提をすり合わせることが重要です。価値観はそろわないことを前提に、違いを資源として生かせる組織こそが、生成AI時代に成果を生み続ける「最強チーム」になり得るのです。

AI時代に強い、目指すべき「チームの在り方」

 目指すべきは、単彩でも雑多でもない、第3のあり方です。

 文化や価値観、職責、世代の異なるメンバーが、それぞれの個性と強みを生かしながらも、同じ方向を見ている。私はこの状態を「多彩チーム」と呼んでいます。

 ポイントは、「違いをそろえない」という点にあります。多彩チームがやるのは、価値観を統一することではありません。価値観は異なったまま、向かう方向(パーパス)だけをそろえるのです。

 なぜ、これがAI時代に強いのか。答えはシンプルです。AIが定型的な処理を担うようになるほど、人間に残る価値は「異なる視点をぶつけ合うこと」に移っていくからです。同じ発想しか出てこない単彩チームは、AIとの差別化が難しい。むしろ、異なる想像力が衝突する多彩チームこそが、予想外の成果を生む確率を上げるのです。

 違いは、そろえるべきノイズではありません。使いこなすべき資源なのです。
【次ページ】実践すべきフレームワーク「4層ループ学習」とは
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