- 2026/08/05 07:10 掲載
情シス騒然、マイクロソフトが「印刷管理」刷新…ついに古いWindows管理は消えるのか(2/2)
本命はUI刷新ではない、マイクロソフトの安全化戦略
転機となったのが、2021年に広く知られるようになった「PrintNightmare」だ。Windows Print Spoolerの脆弱性「CVE-2021-34527」では、印刷スプーラが高い権限でファイル操作を行う仕組みを悪用し、攻撃者がSYSTEM権限で任意のコードを実行できる可能性があった。プリンタドライバはOSの深い部分で動作するため、利便性だけでなく、攻撃経路にもなり得ることが改めて浮き彫りになった。
そこでマイクロソフトが打ち出したのが「Windows保護印刷モード」である。同モードでは、メーカーごとのサードパーティー製ドライバを使わず、Windows Ready Printを利用する。マイクロソフトは、同モードによって、過去に報告されたWindows印刷関連のセキュリティ問題の半数以上を軽減できるとしている。
ドライバ提供の仕組みも変わり始めた。2026年1月15日から、Windows 11とWindows Server 2025以降を対象とする新規プリンタドライバは、原則としてWindows Updateへ公開されなくなった。
さらに同年7月1日には、プリンタを導入する際、Windows内蔵のInternet Printing Protocol(IPP)クラスドライバを常に優先する方式へ変更。2027年7月1日からは、Windows Update経由のサードパーティー製ドライバ更新が、セキュリティ修正に限られる予定だ。
つまり、Windows印刷の将来像は、メーカー独自ドライバを大量に管理する方式から、標準規格を軸にした安全で共通化された方式への移行と言える。Print Managementの刷新は、この大転換を管理画面側から支える動きと考えればわかりやすいだろう。見た目の刷新よりも重要なのは、背後で進む印刷基盤の作り直しなのだ。
情シスが今から確認すべき「移行時の3つの壁」
第1が「互換性の壁」である。まず、社内で使うプリンタ、複合機、ラベルプリンタ、仮想プリンタ、印刷サーバを一覧化する必要がある。その上で、利用中のドライバが従来型のv3/v4なのか、Windows Ready Printに対応するのかを確認する。ホチキス留め、製本、認証印刷、スキャン、FAX、部門コードなど、標準ドライバでは再現できない可能性がある機能も洗い出したい。
第2が「切り替え時の壁」だ。Windows保護印刷モードを有効にすると、サードパーティー製ドライバを使用しているプリンタはアンインストールされる。対応するプリンタであっても、Windows Ready Printを使う形で再登録が必要になる場合があるほか、対応していないソフトウェアプリンタも削除される。全社で一斉に有効化するのではなく、検証用端末と利用部門を限定し、実際の帳票や特殊機能を試す手順が不可欠だ。
第3が「サーバと端末の壁」である。Windows保護印刷モードを有効にしたクライアント端末から、同モードが無効な印刷サーバをPrint Managementで管理することはできないという。端末だけを先に切り替えると、情シス担当者が従来どおりサーバを操作できなくなる可能性がある。グループポリシーやMicrosoft Intuneによる適用範囲、管理端末の構成、障害時の切り戻し方法まで設計する必要がある。
Windows Ready Printは、IPPやeSCL、Universal Printなどの標準技術を使い、サードパーティー製ドライバを不要にする仕組みだ。対応機器がそろった企業では、ドライバ更新や端末ごとのトラブルを減らし、情シス業務を軽くできる可能性がある。一方、独自機能や古い機器への依存度が高ければ、移行には時間がかかる。
重要なのは、新しい管理画面を導入するか否かだけではない。今後も必要な印刷機能を見極め、安全性と互換性のどちらを優先するかを決めること。Print Management刷新のニュースは、長年後回しにされてきた印刷環境を棚卸しする好機となりそうだ。
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