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  • 2019/03/25

金属3Dプリンタの衝撃、なぜGEは航空機のエンジン部品を量産したのか

発明王トーマス・エジソンが創業に携わったゼネラル・エレクトリック(以下、GE)。同社は今、金属3Dプリンタで新たな製造の世界を切り拓こうとしている。GE アディティブ 日本統括責任者 トーマス・パン氏が金属3Dプリンタの最新動向と同社の取り組みを解説した。

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GE アディティブ 日本統括責任者 トーマス・パン氏


3Dプリンタ市場は急成長中

 現在、GEは「Power the world」「Transport People Safety」「Save Lives」という3本柱で事業を進めているが、これらを支える戦略として、将来に向けた5つの成功要素の筆頭として「Additive」(アディティブ)というキーワードを挙げている。

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現在のGEの3つの事業領域と、それを支える5つの戦略。その筆頭に挙げられるのが「Additive」というキーワードだ

 「Additive」とは英語で足し算のように「足す」という意味だ。モノを除去して作る切削加工による「Subtractive Manufacturing」に対し、モノを加えて作る積層加工法を「Additive Manufacturing(付加製造)」というが、バランスの良い呼び名が「アディティブ製造」だ。日本ではあまり聞き慣れないかもしれないが、この言葉は3Dプリンタを根幹とした製造方法である。

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 GEでは、数年に1度、G20に所属する経営者に対し、「イノベーション・バロメータ」というユニークな調査を実施している。ここでイノベーションの話題性を調べているが、最近の調査結果は、グローバルでみると、AI、IoT、フィンテック、3Dプリンタ、ARという順位だ。一方、日本だけの結果を見ると、3Dプリンタは4位から5位に落ちている。

 「Manufacturing Japan Summit 2019」の基調講演に立ったパン氏は「3Dプリンタがビジネスにプラスの影響を与えるか? という質問でも、世界の経営者の63%が肯定しているのに対し、日本の企業幹部は36%しか肯定していません。日本ではあまり期待されていないのです」と嘆く。

 ところが、3Dプリンタの世界市場は、2017年度の約8,000億円から、今後10年間で年平均2割以上、数十兆円規模にまで成長すると見込まれているという。そのなかで、特に注目すべき点は、金属の3Dプリンタの分野だ。これまでの材料は樹脂が中心だったが、金属へのシフトが始まっている。

 同氏は「金属3Dプリンタが登場したのは最近のことですが、急成長しています。いま樹脂と金属の比率は2:1ほどですが、近い将来には1:1になるでしょう。日本で3Dプリンタが盛り上がりに欠けるのは、この金属での造形の実態を知らないためです。これによって実現するAdditive Manufacturingの進展が見えないからでしょう」と指摘する。

金属3Dプリンタの「醍醐味」はどこにあるのか

 いま市場に出回っている本格的な金属3Dプリンタは、レーザーを照射し、金属粉末を溶かす「レーザー式」と、電子ビームを照射する「電子ビーム式」および、インクジェットを使った「バインダージェット式」がある。このうちGEでは前者2つの方式を採用して量産している。

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Additive Manufacturingを支える金属3Dプリンタの種類。現在は「レーザー式」「電子ビーム式」「バインダージェット式」がある

 材料についても、金属3Dプリンタ向けの金属粉末は「チタン合金」「コバルトクロム合金」「ニッケル系合金」「アルミニウム合金」「マルエージング鋼」「ステンレス鋼」「真鍮」など30種類にわたる。

「鋳造で簡単につくれるモノを金属3Dプリンタでつくる理由はありません。やはり特殊合金や難削材など、扱いにくい材料を粉末化することにより、任意の形状を作れることが、金属3Dプリンタの醍醐味になります」(パン氏)

 ここまでGEが、金属3Dプリンタ、すなわちmetal Additive Manufacturingに本腰を入れているのは、同社が量産製造に成功したことが大きな理由だ。

 パン氏は「3Dプリンタというと、デジタルデータを使って、自由形状で造形できるというイメージがあるでしょう。ラピッドプロトタイピングという点でのメリットは当然なのですが、実はそれを量産化することでさらに大きなメリットが得られ、新しい価値が生まれるのです」と強調する。

【次ページ】燃焼系でも量産化に成功、採用の効果は?

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