- 2026/08/25 06:10 掲載
【単独】トップ5%社員はAIに何を学ばせる?越川慎司に聞く「17万人分析」意外な結果(3/3)
3年半で謝罪訪問585件…AIには奪えない「人間の価値」
越川氏は、自身が携わるコンサルティング領域でも「情報収集やドキュメンテーションなど、AIが最も得意とする従来型のコンサルティング業務は置き換えられるだろう」と指摘する。
では、AI時代のコンサルティングはどこに独自の価値を見いだすべきなのか。越川氏がポイントとして挙げるのが、社内に蓄積された「失敗事例」だ。
「インターネット上に山のように公開されている成功事例は、これからの時代、価値は大きくありません。ネット上に公開されていない、その会社だけの独自の失敗事例をどれだけ蓄積しているか。それを分析して、失敗しないためのコンサルティングをお客さまに提供できるかが、価値になると思います」(越川氏)
越川氏は、社内固有の失敗事例を企業内部に蓄積することが重要だと語る。
同じことはコンサルティング業以外にもあてはまるかもしれない。たとえば越川氏は、前職時代に謝罪訪問を3年半で585件経験したという。
「コーヒーはかけられるし、ペンは飛んでくる、そんな現場でした。しかし、その経験から『訪問時に腕時計をはめてはならない』『1回目の訪問時にようかんはタブー』といった独自の知見を得られたのです。AIは謝罪訪問には行けません。私の手元には、そのときの情報がたくさんあります。もちろん、ネットには公開はしていませんし、AIにも学習させていません」(越川氏)
越川氏は、AIにない人間の価値は「欲求」「経験」「肉体」だと強調する。
「AIは、売上を上げたい、上司から褒められたいといった欲求を持ちません。また、AIが持っているのは永遠に二次情報、三次情報であり、自ら経験する一次情報は持っていません。したがって、人間が自ら獲得した経験、たとえば私であれば謝罪訪問を通じて獲得した経験、挫折の乗り越え方こそが、最大の財産になるのです」(越川氏)
デキる人は「うなずき」が5センチ深い?成果生む小さな習慣
では、仕事ができる人や成果を上げる人から、私たちは何を学び、実践していけばよいのか。越川氏が挙げるのが、「共感」と「共創」だ。「今重要なのは、情報共有ではなく感情共有、つまり『共感』です。AI時代には、どんな仕事をするかよりも、誰と仕事をするかのほうが大切です。相手の考え方や感性に共感できて、はじめてともに仕事をする『共創』の関係になれるのです」(越川氏)
かつて日本経済が元気だったころ、イノベーションは研究開発室や役員会議室で起きており、現場はそれを実行するだけでよかった。しかし、今は違う。多くの現場で「残業するな。成果を出せ。やり方は自分で考えろ」と言われる。しかも、誰もその解決策を提示してはくれない。
だからこそ、お客さんに、若手に、海外の人に聞いて、自分で何とかしなければならない。そこで求められるのが「共感」と「共創」というわけだ。
では、具体的に何をしたらよいのか。越川氏が優秀な人たちの行動を分析し、突き止めた意外な事実の1つに「うなずきの深さ」があった。
「仕事ができる人は、会議中にうなずきの深さがほかの人より平均で4.5~6.5センチ深いことが分かりました。反対意見やとっぴな意見でもうなずいているのです」(越川氏)
ここで重要なのは、相手の意見にすべて賛成することではない。越川氏によれば、優秀な人は「反応」と「決定」を分けているという。まずは意見を出してくれたことに肯定的な反応を示し、採用するかどうかはその後に判断するのだ。
「優秀な人はどんな意見にも深くうなずきます。たとえば、『ちょっといいですか』と言われたら、どんなに忙しくても『もちろん』と言います。そのあとで『2時間後に』『明日で』と付け加えても、関係が崩れることはありません。こういうことをしているのが、巻き込み力が高く、突出した成果を出している人たちなのです」(越川氏)
「共感」と「共創」は、これからのビジネスパーソンにとって重要なキーワードとなりそうだ。そして、その第1歩として、どんな意見にもまずは深くうなずく。これなら、明日からでも実践できるのではないだろうか。
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