そのためには、現場の活動を改善することが必須であるが、多数の人が関係した活動であるため、その内容は膨大で、対象範囲も広い。

　本稿では、7つのカテゴリーに分類して、現場の具体的な事象を上げて検討してみたい。読者は、いかに多くの問題が存在していることに気がつくだろう。今回は、その問題がどのような意味があるのか、背後に横たわる課題等を考察したい。これらの問題をどう解決するかは次回に譲りたい。

１．モチベーションに関わる内部統制事項：

(1)個人の論文、企画書、その他作成資料など、社内サーバ内に保存しておくと、本人の許可なく勝手に使用され、使用した者が「自作であるがごとく」内容を発表している事例。
・著作権や特許など知財の基本的な認識の問題。
・基本的な所有に対する理解が不足しているのか？
・自分でできる能力が欠けている。
・相手に対する配慮の問題。
・人間関係が悪くなる問題。
・本人が情報を出さなくなる。

(2)営業活動の一環として、顧客の企業に対する意見や商品に対する意見等の情報を会社に提供しても評価されず、売上ばかりを求められるので、結果を出せない者はやる気が低下する。
・潜在顧客を逃す。
・新商品開発の種を逃す。
・顧客の不満足が増す。
・情報収集の機能が低下する。
・最も大事な経営方法の情報共有という機能が低下する。
・優秀な営業マンのやる気をなくさせる。

(3)やれと言って任せられ、失敗すると怒られる。
・OJTや必要な教育が機能していないのか？
・失敗を恐れ、チャレンジしなくなる。
・怒られるので、失敗を隠そうとする。
・指示を聞かなくなる。
・嫌なことをやらせられ、やる気をなくす。

２、改善・改革に関わる内部統制事項：

(1)会議は、いつも事実前提と言われる短期的思考で「売上増加」「費用削減」「利益創出」等のみの話で終始してしまう。
・目の前の結果を追いかけるため改善ができない。
・いつまで経っても、競争力が上がらない。
・各人の貴重な経験知の共有ができない。
・リーダーの能力がない。
・顧客価値創造が分かっていない。
・仕事が嫌いになる。

(2)QC活動や改善提案制度で、各人の知恵の表出化を行っているが、改善提案がノルマ化されているため、各人が「知」を溜め込み、小出しにしている状況がある。
・賞取りが目的になっている。
・強制されているため、自由な発想ができない。
・質より量が目的になってしまう。
・改善提案の中身でなくノルマ達成が目的になってしまう。
・暗黙知が全て表出化されない。

(3)会議を2～3時間行うが、結論がぼやけて、何かよく分からないまま、終わり、結果として行動に誰も移せない。
・人資源をムダにしている。
・時間が長すぎるのか？
・問題解決に繋がる意見が出ていない。
・会議に対する効果に参加者が疑問になる。

(4)設計作業において、熟練技術者の代わりに、若手技術者が同じ作業をすると、失敗をする事が多い。
・技術の伝承がうまく行っていない。
・若手がやる気をなくす。
・作業の要点が分かっていない。
・再作業が必要で時間のロスが生じる。

(5)顧客からのクレームに、規則に則って対応はするが、現品の措置だけで終わってしまい十分な原因究明、再発防止がなされない。
・商品開発の種をつぶしている。
・関係者に情報が流されない。
・また、同じようなクレームが出てくる。
・結果として、顧客の不満足が減らない。