- 2026/07/08 掲載
【12月施行】内部告発の「犯人探し」は禁止へ…企業は何が変わる?見直すべき4対応
元毎日新聞記者。長野支局で政治、司法、遊軍を担当、東京本社で政治部総理官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て独立。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。自称「霞が関文学評論家」
内部告発したらクビになる…?通報者を守る公益通報者保護法
仮にあなたが勤め先の会社や取引先で不正を見つけたとしても、「クビになるのではないか」「職場にいづらくなったりするのではないか」と不安に感じ、告発や通報をためらってしまうかもしれません。公益通報者保護法とは、そうした心配を和らげ、労働者などが安心して不正を通報できるようにするためのルールを定めた法律です。対象となるのは、勤務先や取引先で行われている法令違反のうち、消費者や取引先、社会全体に被害を及ぼす恐れのあるものです。たとえば、製品の品質データの改ざん、不正請求、食品や製品の安全性に関わる違反などが考えられます。不正を知った人が、社内の通報窓口、行政機関、報道機関などに通報した場合、一定の要件を満たせば「公益通報」として保護されます。
また、近年は、会社に雇用されるのではなく、個人事業主やいわゆる「1人会社」として業務を受ける人も増えています。形式上は独立した事業者であっても、特定の取引先に継続的に依存している場合、実態としては労働者に近い立場に置かれることがあります。
たとえば、ある企業から継続的に業務を受けているフリーランスが、取引先の不正を知ったとします。その人が通報したことを理由に契約を解除されたり、発注量を大きく減らされたり、報酬を下げられたりすれば、生活に直結する大きな打撃になり得ます。雇用契約ではないからといって、通報者保護の外に置いてよいとは言えません。
【12月施行】何がどう変わる? 法改正「3つのポイント」
こうした課題を踏まえ、今回の法改正では、公益通報者をより強く守るための仕組みが追加されました。主な改正点は、大きく3つあります。
- (その1)公益通報者の範囲にフリーランスが加わること
- (その2)従業員等に対する事業者の公益通報対応体制の周知が義務化されること
- (その3)公益通報を理由とする解雇や懲戒について、刑事罰が科される可能性があること
これまで公益通報者保護法で保護される通報者は、労働者、派遣労働者、退職後1年以内の元労働者、役員などでした。今回の改正では、ここにフリーランスが加わります。具体的には、事業者と業務委託関係にあるフリーランスと、業務委託関係が終了して1年以内のフリーランスが対象となります。
企業側から見ると、従業員だけでなく、業務委託先や外部パートナーにも目を向ける必要があります。社内向けの通報窓口や周知資料が従業員だけを前提にしている場合、フリーランスも利用できるのか、どのような手続きで通報できるのかを見直す必要があるでしょう。
すでに触れたとおり、フリーランスと発注元との関係は、あくまで業務委託などの取引関係であり雇用関係ではありません。公益通報を理由に取引上の不利益な扱いを受けた場合について、労働者の解雇や懲戒と同じように刑事罰の対象とするかどうかは、現時点では今後の検討課題とされています。 【次ページ】【重要】内部告発の“犯人探し”禁止へ、企業は何が義務化?
ガバナンス・内部統制・不正対策のおすすめコンテンツ
PR
PR
PR