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- 2009/06/05 掲載
【連載:第4回】デジタルネイティブ世代を育てる<1:n>のクラウド化システムと<n:1>の育成システム
ナレッジネットワーク 代表取締役社長
サイバー大学 客員教授
森戸 裕一氏
大手システム会社でナレッジマネジメントなどのコンサルタントとして活躍後、2002年1月独立。ナレッジネットワークを設立後は組織力向上のための情報マネジメント、人材マネジメントなどのコンサルティング業務に従事。特に経営者や情報化担当者向けの講演などは独立後1500回と群を抜く実績を持ち、情報化による組織変革などのテーマで社内研修の講師や大学の客員教授なども務める。著書に『人と組織が動く中小企業のIT経営』がある。
「ゆとり世代」と呼ばれて戸惑う
平成生まれのデジタルネイティブ世代
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彼らはバブル期と呼ばれる日本の高度経済成長期に生まれ、ものごころついた頃には平成不況による商品やサービスの低価格化したデフレ時代に突入し、大量消費社会でありながら高価格な商品やサービスを好まないという社会で育ってきた。また、Windows95が発売されたころに小学校に入り、中学・高校時代には、インターネットが身近な存在で、情報を「検索」し入手してきた。さらに、携帯電話の普及により、家族や友人など、必要な人と電子メールを通じてコミュニケーションをとり、好きな音楽は携帯型音楽プレーヤーで持ち運び、好きな時に聴くというのが日常の世代。
このように、彼らが過ごしてきた環境を書き並べただけでも、これまでの世代とは多くの違いがあることが明確だ。しかし、彼らにとってはそれが自分たちの世代の感覚であり、そこに私たち世代の人間が違和感を覚え、戸惑ったとしても、当然であろう。この感覚の違いを認識し、「デジタルネイティブ世代」とも言える彼らの特性をうまく引き出すことが、次世代の人材育成のキモだと考えている。
デジタルネイティブ世代が配属される組織の現状
デジタルネイティブ世代の育成方法を考える前に、ちょっと気になることがある。彼らの前の世代(20代の若手の社員)も何だか元気がないという声が聞こえてくるのだ。入社時に導入教育を行ってもらい、現場に配属された後、「メンター制度」「ブラザー(シスター)制度」「エルダー制度」といった育成担当者をつけて、現場OJTを行っているにもかかわらず、若手社員は思ったように育っていないと感じているケースが多いようだ。これは、先輩社員と若手社員の意識にギャップが生じていることが原因で、このギャップは、まさに成長過程の認識の違いであろう。育てる側は「自分たちが若手の頃は、先輩と一緒になって仕事をする中で、与えられた仕事や課題は必死で考え、徐々に仕事を覚えていった」という感覚が強いのだが、一方の若手社員は「早く一人前になりたいので、仕事のやり方を早く教えてほしい。課題を与えて“考えさせる”なんて面倒なことをせずに、仕事の“やり方だけ”をすぐに教えて」という感覚だ。
また、成果主義の導入や人員削減などで、他人の面倒を見る余裕がない、もしくは長期にわたる新卒採用の抑制で部下や後輩が少なく「育成経験のない社員」も増えており、こうした背景から、これまで当たり前だった「現場教育」が、今では危機に瀕しているようだ。
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