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  • 2009/06/05 掲載

【連載:第4回】デジタルネイティブ世代を育てる<1:n>のクラウド化システムと<n:1>の育成システム(2/2)

【連載】「金融恐慌の後に新しい市場価値を創出する次世代人材の姿」

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会社への帰属意識、成長意欲の高い社員をクラウド化する

 会社の中にはいろいろな意識をもった社員がいる。仕事の成果を追求して努力する社員、ほかの社員の面倒まで見て組織全体を盛り上げようとする社員、そして一方では、自分の仕事以外に興味がなく、自分の成果にしか目が向かない社員、自分が成長できないことを職場環境のせいにして、ほとんど努力をしない社員など。両方の社員は大手企業にも中小企業にも存在し、組織に大きな影響を及ぼしている。前者の社員が多い会社では、新入社員は先輩社員を手本にしてすくすくと伸びていき、後者の社員が多い会社では、有望な新入社員も、悪い影響を受け、働く意欲が薄れてしまうようだ。優秀な人材でも「腐ったミカン」の法則で、腐食が伝播してしまうのであろう。

 これらの現状を踏まえ、デジタルネイティブ世代への指導方法を考えてみる。彼らは、ネット経由でのチャットや電子メール、スカイプなどのコミュニケーション手段を使って、多くのコミュニティに参加し、そのメンバー達と、初対面であってもあっさりコミュニケーションをとる世代である。その特性を認識し、会社でも、所属を超えたPtoP(Person to Person)でつながるメンター制度やトレーナー制度を導入することと、そのコミュニケーションされている内容(履歴)をほかの社員にも公開し、それを見ることで、社員同士新たな気づきを与えあう仕組みを作ることは有効だと考えている。特に、モチベーションが高いもの同士のやり取りは、電子メールのやり取りだけでもほかの社員に大きな刺激を与える。この「電子メール」が、グループウェアや社内ブログ、SFAなどの情報共有ツールであっても同じである。

 また、ここで重要なことは、社員の成長を助けるために社内の誰を育成担当として指名するかであるが、視点を変えて、e-Learningの特性を考えてみる。講師が遠隔地にいて、大勢の受講者に同時に知識を提供したり気づきを与えたりすることができるのがe-Learningの特性だとすれば、それを社内のOJTの仕組みに置き換えてみてはどうか。1人の「優秀」といわれる先輩社員と多くの新入社員という関係性<1:n>で考えると、硬直化された子弟関係のようなものが、クラウド化されたイメージになってくる。<1:n>では、「優秀」といわる先輩社員のCPUはオーバーフローしそうに感じるが、IT技術を活用し、FAQのような形式で対応履歴を蓄積し見える化することで、負担も軽減できるのではないか。何よりも、このようなコミュニケーション手段を若手社員が得意としているのだ。

<1:n>のクラウド化システムと
<n:1>の組織一丸での育成システム

 ここで間違ってはいけないのは、若手社員の育成を1人の「優秀」な先輩社員にまかせて、ほかの先輩社員は何も関与しなくてもよいと言っているのでは決してない。是非、IT技術を活用した、<n:1>の、組織一丸となった指導体制も構築してほしい。もし、人材育成の専門知識や経験がある社員や部署が存在するのであれば、まずは、新人の指導にあたる先輩社員に最近の新入社員の特性を伝え、指導ポイントを伝えてほしい。存在しないのであれば、特性を理解したうえでの「指導法」を実践的に伝える専門の外部研修を活用してみてほしい。こうして、若手社員の特性を理解させた上で、実際の指導方法の成功・失敗事例を部署を超えて共有し、組織として新入社員を指導する体制<n:1>をつくっていく。組織として新入社員、若手社員育成に取り組むことで、何より、部下の育成に慣れていない先輩社員が、「指導者としてのコミュニケーションのあり方」に悩みながらも実践を重ね、自分の成長を実感していく。その結果、彼らの継続的な成長につながり、これも「組織による人材育成」の大きな効果の1つであろう。

 ITを活用することで、社内ネットワークで利用できるコンテンツの自由度があがり、流通する情報の履歴管理や共有が可能になってきた。社員育成のプロフェッショナルと育成対象となる若手社員、新入社員をネットワークでつなげ、その中でやりとりされるコンテンツをほかの社員にも共有しながら、組織で人材を育成する仕組み<n:1>と、所属部署にとらわれないクラウド的な自由度をもった師弟関係<1:n>の構築が、さらなる可能性を高めてくれる。ネットワークを利用して、若手社員や新入社員の指導担当者として活躍する先輩社員やマネージャーは、別のマーケティングバスをもつことで、リアルタイム型の教材を手にすることになる。柔軟性、機動力があり、実践的な人材育成システムの基盤になるのは、今現在、グループウェアやSFAといった通常情報系システムと呼ばれているシステムなのかもしれない。

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