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  • 2010/02/17 掲載

【連載・全3回】なぜシステム導入プロジェクトの70%は遅延、予算オーバーとなるのか(3)

アリックスパートナーズ・アジア・エルエルシー 金澤明彦氏

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過去2回、企業にとってシステム関連コストやシステム・プロジェクトは、そのコスト支出や投資の意思決定が高度化できないという意味で経営管理上の宿命ともいうべき弱点になっているという現状、またその根本原因はシステム関連コスト(特に投資)には、経営と当該(ユーザー)部門の間にシステム部門という第3のステークホルダーが存在し、カネの支出と成果を出す部門が一致しないこと、また各ステークホルダーの思惑がバラバラで、本来目標とすべき“戦略的投資”の象限にたどり着けない(そこから離れる力がはたらく)ことにあることという問題提起をしてきた。最終回の今回はこの問題の解決に向け、経営者は何をすべきかを考察してみたい。

金澤明彦

金澤明彦

アリックスパートナーズ・アジア・エルエルシー
ディレクター

 24年以上にわたる製造業および金融業双方での豊富なビジネス経験を有している。
 具体的には、石油業界および消費者向け金融業界における国際企業でのマネジメント・ポジションで広範囲な実務経験を持つ。特にシックス・シグマの手法を駆使したプロセス改善やIT関連プロジェクトにおいて豊富な経験と実績を有しており、また日本企業と米国企業の合弁会社のマネジメントという貴重な経験も積んでいる。

【アリックスパートナーズについて】
 アリックスパートナーズは、米国デトロイトに本社を置く世界最大規模の「企業再生専門のプロフェッショナルファーム」。日本支社は、アジア初の拠点として2005年に設立された。
 現在、日本オフィスでは20数名のプロフェッショナルスタッフが、緊急対応を要するような苦境や危機に陥った企業の支援業務に特化し、「再生専門のプロフェッショナル集団」として数多くの成果を遂げている。

システム・プロジェクトは失敗するように運命付けられている!?

【マネジメント】なぜシステム導入プロジェクトの70%は遅延、予算オーバーとなるのか

アリックスパートナーズ・アジア・エルエルシー
ディレクター
金澤明彦氏


 連載第1回第2回の要点を意訳すると、「システム・プロジェクトはそもそも失敗するように運命付けられている。経営者はその認識に立って、システム関連コストや投資の意思決定をする必要がある」 ということだ。

 では失敗を運命付けられているシステム・プロジェクトをどうやったら成功に導くことができるのか、あるいは企業にとって致命傷にならない範囲の失敗に留めることができるのだろうか。

3つの解決法-【1】経営者による解決法

 私自身の経験では3つのアプローチがあるように思う。

 1つは、経営者自身がシステム・プロジェクトに当たり、システム部門と当該(ユーザー)部門に具体的なコミットメントとその相互合意をさせるプロセスに直接関与するというものだ。もちろん、すべてのプロジェクトには関与できないので、金額やプロジェクトの性格(法令順守のための投資や更新投資は対象外とするなど)による関与基準を設ける必要はある。あるいは、たとえばクレジットカード会社における勘定系システムの更新など、明らかに事業のコアと思われる投資に絞ってこの直接関与を行うという方法もあろう。

 ただ、そうは言っても経営者がこうした直接関与を常態化することの組織としての問題(すべてのことが経営者が直接関与しないと決まらなくなる!)、また上記の関与基準設定の現実的困難さを考えると、この“経営者直接関与”アプローチは大半の企業において非現実的かもしれない。

3つの解決法-【2】個人による解決法

 代替アプローチとしては、個人による解決法と組織による解決法の2つがありうると思う。

 まず、個人による解決法とは、経営者の名代としてシステム部門と当該(ユーザー)部門への直接関与プロセスを取り仕切る人物を見つけることだ。肩書は何でも良い。経営企画部長がそれをできる人物ならその肩書のままやらせるという手もあるし、CIOがその任に耐えられる人物であれば、当該(ユーザー)部門も納得ずくで上記の直接関与プロセスを回せるかもしれない。あるいは、単発のプロジェクトであれば、全社横断的なプロジェクトチームを作り、そのプロジェクトリーダーにその人物を任命し、全権を委譲するというやり方もある。中小規模の会社ではこのやり方が最も柔軟かつ、効果的かもしれない。

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