- 2026/04/18 掲載
なぜ「悪い情報」が届かないのか…責任者が“裸の王様”にされる致命的な構造
IT業界においてプロジェクトマネジメント業務を中心に従事。キャリアの前半は民間企業にて、受託側の立場から公共分野の基幹システム再構築プロジェクトなどに携わる。2013年から内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室で政府CIO補佐官として、発注側の立場でのプロジェクトマネジメント等の実務を担当。2021年からはデジタル庁発足に伴い、同庁のガバナンスマネージャーとして実務を担当。
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そもそも「ステークホルダー」とは何か
ステークホルダーの語源は、stake(掛け金、利害)を持つ人で、もともと投資家を意味する言葉でした。この言葉が企業活動でも使われるようになり、「利害関係者」全般を指す言葉となりました。プロジェクトにおいても、さまざまなステークホルダーがいます。ステークホルダー管理とは、多種多様なニーズを持つステークホルダーに関係する、状況把握、調整、合意形成を円滑に進めるための活動です。
■ステークホルダー管理とコミュニケーション管理の関係
ステークホルダー管理とコミュニケーション管理の関係については、明確な区別があるわけではありません。実務的にも、これら2つの言葉を明確に区別せず、文脈に応じて適宜使い分けることが多いです。
ここでは、便宜的に次のように整理します。プロジェクトに関係する人たちを大きく3つのグループに分け、2.と3.をステークホルダーとしての管理対象と考えています。
- プロジェクトチーム(プロマネ、プロジェクトメンバー等)
- 内部関係者(主に社内関係者)
- 外部関係者(主に社外関係者)
この図1に表せる定義は、ほかにもさまざまな整理方法がありえることに注意してください。
問題の深刻さが伝わらず「順調に稼働している」と報告
プロジェクトに大きな問題が発生してステークホルダーに迷惑をかけている場合、その状況はプロマネにしっかりと伝わるでしょうか?プロジェクトの規模が大きくなり、ステークホルダーの数が増えると、問題が伝わりにくくなります。
ある工場での例を見てみましょう。システムを導入するプロジェクトで、内部関係者にあたる工場の人が困っています。
例題:伝言ゲームが発生する理由
ところが、システム稼働直後からさまざまな問題が発生しました。工場の担当者は大混乱しています。
- 材料の細かな種類の違いを無視した指示を出すので修正が必要
- 一度出した指示を変更することがあり、無駄な作業が増える
- 在庫情報が不正確で、存在しない材料の使用指示が来る
一方で、システムを構築したプロジェクト側には、この問題の深刻さがあまり伝わっていません。最終的に「部分的な問題はあるものの、システムは概ね順調に稼働している」という報告がされており、責任者も安心しています。
どうして、このようなギャップが発生しているのでしょうか。
その原因を考えてみてください。
■大きな組織ほどギャップが発生する
不思議な光景です。
工場の現場ではさまざまな問題が起こっているのですから、素早く対応を行わないと生産に影響が出ます。新システムでの対応が間に合わないのであれば、昔のシステムにいったん切り戻すことも含めて抜本的な対応が必要なはずです。しかし、その深刻さがシステムを作っている当事者に伝わっていないのです。
組織の規模が大きく、全国に複数の工場が散在している場合などは、このようなギャップが発生しやすくなります。
この不思議な構造にメスを入れて、何が発生しているかを詳細に確認していきましょう。 【次ページ】認識にギャップが発生してしまう“生々しい”過程
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