- 2026/04/14 掲載
多額の経費が水の泡…「AIの使い方? 導入してから考えるよ」が“失敗フラグ”のワケ
IT業界においてプロジェクトマネジメント業務を中心に従事。キャリアの前半は民間企業にて、受託側の立場から公共分野の基幹システム再構築プロジェクトなどに携わる。2013年から内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室で政府CIO補佐官として、発注側の立場でのプロジェクトマネジメント等の実務を担当。2021年からはデジタル庁発足に伴い、同庁のガバナンスマネージャーとして実務を担当。
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みんなの役に立ちそうなものは、誰の役にも立たない
例題1:AIアプリのコンセプトアプリ上で利用者が作りたいカレーライスの種類を選択すると、AIが最適なレシピを作成する。
レシピの内容に基づいて、音声AIアシスタントが自然な会話で調理作業の指示、支援を行う。
- このアプリは、便利なアプリになるでしょうか?
- 問題があるとすれば、何を改善すべきでしょうか?
例題2:AIチャットボットの導入
そこで、このインターネット申請サービスにAIチャットボット機能を組み込み、利用者が手続きに困った時の相談対応を自動的に行えるようにします。
- このAIチャットボットは、便利なサービスになるでしょうか?
- 問題があるとすれば、何を改善すべきでしょうか?
2つの例題を紹介しました。それぞれの詳細な解説については、『プロジェクトマネジメントの基本と本質が1冊で学べる本』をご覧ください。ただ、結論を簡単に説明すると、いずれも設問の時点では「誰が何に困っているか」という具体的な観点が抜け落ちています。
いずれの例でも、具体論を省略した「総論的な考え方」でプロジェクトの目標を立てようとしていたのです。この総論的な考え方こそ、諸悪の元凶です。
みんなの役に立ちそうなものは、誰の役にも立ちません。
たとえば、就職活動に使う履歴書を書くことを考えてください。学生時代に力を入れたこと(通称、ガクチカ)をどう書くかは、評価を左右する重要なポイントです。
以下のような履歴書を読んで、心が動かされるでしょうか。
アルバイトで接客を担当し、コミュニケーション能力を向上させました。このように一般的で抽象的な言葉を並べられても、まったく印象に残りません。個別具体的な内容にすれば、一気に説得力が増します。たとえば、このような内容です。
アルバイト先のカフェでは、人気メニューの品切れが頻繁に起こっていました。
私は、その原因が、シフト交替時に在庫状況がうまく引き継がれていないことにあると気づきました。そこで、誰でも簡単に確認・記入できる在庫チェックリストを作成し、スタッフルームに設置しました。具体的には、朝・昼・夜の各シフトで該当メニューの在庫数を確認し、チェック表に記入するルールにしました。残りが少ない場合は、次のシフト担当者が早めに補充や発注対応できるように、「在庫注意」欄も設ける工夫をしました。その結果、人気メニューの販売数を20%増加させることができました。
この経験を通じて、現場の課題を発見し、周囲を巻き込んで改善を実行することが大事だと気づくことができました。
プロジェクトの目標設定も同じです。
総論的で一般的な目標は、そもそも現状分析や課題認識が不足していますし、プロジェクトに関わる人の心を動かすことができません。 【次ページ】「とにかくAI導入すれば何とかなるはず」は失敗の入り口
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