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  • 2010/02/18

「クラウドをご案内しております。ご提案したいのですが」:中堅・中小企業市場の解体新書(13)

SaaS、クラウドへの期待と効用

先日、「クラウドをご案内しております。ご提案したいのですが」という営業の電話が入ってきた。ノークリサーチは大企業ではなく、大きなプラットフォームも検討するつもりはないので、お断りしようと思っていたが、よくよく話しを聞いてみると、官公庁主導で進めている「J-SaaS」の提案だという。販売イベント(セミナー付き)だったのだが、実際にJ-SaaSなるものをどのように提案するのか興味があり体験してみた。

ノークリサーチ 伊嶋謙二

ノークリサーチ 伊嶋謙二

ノークリサーチ 代表取締役社長
ノークリサーチ代表。大手市場調査会社を経て,98年にノークリサーチを設立。IT市場に特化した調査,コンサルティングを展開。特に中堅・中小企業市場の分析を得意としている。

中小企業の強みとは何か


 中小企業の特徴は良くも悪くも、経営トップと現場の最前線との距離が近いことである。そのため、意思決定のプロセスは極めて明確であり、しかもスピードが早い。多くの中小企業は、いわゆる典型的なトップダウン型で意思決定される場合が多い。

 規模による競争力の違いを除けば、企業が行っている事業そのものがいかに競争力を持っているのか、他社にはない差別化製品やサービスを有しているかが重要になる。いわゆるエッジの利いた事業を展開しているかどうかが、企業の継続的な発展のための大きな要素となる。

 とはいえ、デフレ経済下では、ユニクロやマクドナルドなど、スケールメリットを活かすことができる一部の限られた企業による低コスト戦略が業績の優劣につながっている。もし、価格だけで勝負が決まるなら、日本の経済の見通しは暗いと言えよう。

 日本航空の破綻にみるように、超大手企業の淘汰も現実に起こっているような経済環境では、中小企業では言うに及ばないほど苛酷な状況が強いられている。だからこそ、機動力を発揮できる中小企業の利点を活かした展開が求められる場面であるともいえる。

 すべての中小企業は等しく、事業を行うべき理由があり、その顧客も存在する。すでに負けのモードになって、外部環境のせいにして縮こまっているだけでは次のチャンスは訪れない。11回目で取り上げた事例は、その意味でも重要なヒントになるはずだ。価格に活路を見出せば、この先も価格の競争力という差別化要因が張り付いて、そこにビジネスのコアを集中することになる。

 しかし、価格競争力というのは、実は多くの中小企業には馴染まない。少なくとも優位点を価格のみに求めるのは、短期的に留めておくのが得策だろう。では、改めて中小企業はどういう領域に注力していけばいいのだろうか。

事業継続のサイクル


 経営とはすなわち、「事業を継続する」か「事業を停止する」の二者択一を迫られるものだ。事業継続を選択するのであれば何をすべきか、次の事業継続のサイクルを参照いただきたい。

画像
事業継続のサイクル


 この事業の継続サイクルは、企業の規模に関係なく、基本的な要件となる。現在の経済環境下で最も課題となっているのが、実は1.2.3.の「売るもの」「販売活動」「実績」の連携に大きな齟齬が生じていることだ。いわゆる「売るものを差別化できない」「売るための戦略、方法が分からない」「売れないあるいは売っても儲からない」。この負の循環が、中小企業において事業継続のボトルネックとなっている。

 特に、多くの中小企業は良い技術や商品、サービスがあったとしても、実際に欲しい人や企業に届かない、届けることができない、または認知されていないことが課題になることが多い。限定された経済活動の中で、見える範囲でしかビジネスを展開できないからだ。

 そこにはプロモーション・販売促進・広告宣伝などの、マーケティングの要素が欠かせない。マーケティングといえば固く感じるかもしれないが、要はどうやって欲しい人に知らせるかだ。この方法にはお金を掛ければ解決することが多い。だからこそお金を掛けられずにあきらめている企業も多い。

 業務アプリケーションは、必要な企業の導入はほぼ行き渡った感がある。しかし、こうした課題を解決しうるSFAやCRMなどの情報系アプリケーションはまだ十分導入が進んでいるとは言い難い。営業効率や販売生産性向上に役立つとはいえ、実際の導入効果が表れるまでには時間が掛かることも手伝って、アプリケーションの導入率は1割程度であることは7回目のコラムでも紹介した通りである。

 SFAやCRMには導入だけでなく、使う上でも大きなシバリがある。それは、「全社で情報を入力、更新のルールが徹底されなければ有効に機能しない」ということだ。独自の顧客データベースの備蓄と更新があって、はじめて効果が出始める。この点をユーザー企業が理解し、同時に提案する販売店やSI企業もそれに基づいて正確に提案できるかどうかは疑問だ。

>>次ページ:SaaS、クラウドへの期待と効用

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