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  • 【内海慶一氏インタビュー】「100均」に宿る自由と創造性!?――その奥深い魅力を考える

  • 2010/07/08 掲載

【内海慶一氏インタビュー】「100均」に宿る自由と創造性!?――その奥深い魅力を考える

『100均フリーダム』著者 内海慶一氏インタビュー

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人気サイト「日本ピクトさん学会」や「100均フリーダム」の運営者・内海慶一氏が、『100均フリーダム』(BNN新社)を上梓した。100円均一のショップで見かける不思議な商品の数々をピックアップした本書は、意外なかたちで自由や創造性を我々に訴えているのか――。著者の内海氏に改めて100均の魅力について伺った。

いかに100均を味わうか

――そもそも内海さんはなぜ100均の商品に関心をお持ちになったのでしょうか。

 内海慶一氏(以下、内海氏)■もともと都市観察というか日常観察みたいなことが好きで、散歩しながら街をぼんやり見たりしてるんですけど、たぶんそれと同じ目線で、街以外のものも見ようとしたんだと思います。そういう気持ちで生きてたら、ある日100均を発見したというか。100均に呼ばれたというか。

photo

『100均フリーダム』

――100均の商品は多くの人が見ているはずなんですが、新たな発見という感じがします。

 内海氏■本のあとがきにも書いたんですが、最初は「ざわめき」としか言いようがなくて。でもそれがなんなのか分かんないんですよね。それで集め始めた。集めながらざわめきの正体を考えていったというか。それでどのくらい経った頃だったか、「ああ、これフリーダムだな」と。その言葉をあてはめた瞬間に、やっと輪郭がつかめた感じで。結局どこかで人に伝えたいと思ってるんですよね。だからそういう翻訳語みたいなものが必要になってくるんです。

――100均商品の味わい方のコツみたいなものはありますか?

 内海氏■発想、デザイン、精度の3つに分けて鑑賞すると味わいやすいと思います。亀の甲羅の中にイチゴを入れるような、常識に囚われない発想。パンダの目を黄緑色に塗るような斬新なデザイン。糸のほつれや歪みを気にしない、ふわっとした精度。それらが混然一体となってフリーダムが生まれているという。

――「細かいことを気にしない精神」という言葉も印象的でした。

 内海氏■見てるとほんと気が楽になりますよ。これでいいんだなって。あと大切なのは、結果としてもたらされる肯定感ですね。そこを感じてほしい。誰も排除されないんですよ、100均は。愛にあふれてるんです。

近所の路地だって世界遺産!?

――内海さんは「100均フリーダム」だけではなく、人気サイト「日本ピクトさん学会」の運営でも知られています。「日本ピクトさん学会」は2003年からスタートしているサイトですが、こういったWebでの活動はどうして始められたのでしょうか。

 内海氏■やっぱりインターネットというものがでてきたときに「自分でコンテンツを発信できるんだ」っていうのがすごく衝撃だったんです。今では当たり前すぎてその衝撃ってわからないと思うんですが、なんか、それこそ自由を手に入れたっていう感じだったんですよね。「個人で世の中に発表できるの?」っていう。やらなきゃもったいないっていうか。それで、かなり早くから「自分もそのうちサイトつくるんだろうなあ」と思ってました。結局始めたのは2003年からで、僕の世代としてはちょっと遅かったんですが。

――サイトを長期的に続けていられる理由は何でしょうか?「日本ピクトさん学会」では多くの読者の方がピクトさんに関する情報や写真を投稿しているのが印象的です。

 内海氏■「ピクトさん」って、ほんと種類が豊富なんですよ。これだけ長くやってて、いまだに初めて見るものがありますから。というか日々、新しいピクトさんが生まれ続けてるんです。だから全然飽きないし、サイトをやめるきっかけがない。それはもちろん読者さんからの投稿に支えられているというのが大きいんですが、自分ひとりだったとしても続けてるでしょうね。もともとサイトをつくる前はひとりで自分の楽しみとしてやってたわけですから。

――サイトに関連したリアルのイベントなども開催していらっしゃいますね。

 内海氏■イベントはどちらかというと苦手で、自分からやろうとしたことはないんです。でもサイトを長くやっているといろんな方に「一緒にやろうよ」って誘ってもらえるようになって。やればやったで面白いんですよね。みなさんの生のリアクションが見られるし。あの一体感というのは、ネットでは味わえない。

――そんな流れの中で『ピクトさんの本』を2007年に出版されました。ネットの活動がネットだけにとどまらず拡大していくことについてはどのようにお考えですか。

 内海氏■かつては「Web発」みたいなのをことさら強調する時代があったと思うんですが、それはもうあまり意味がなくなってきてますよね。雑誌連載からだろうとネットからだろうと関係ない。それはイベントも同じで、もうわざわざ「今回のイベントはネットから始まったなんとかで」とか言わないじゃないですか。たまには言うかもしれないけど。それは興味深いですよね。そのあたりは僕はちゃんと考えたことないけど、いかにネットというものが当たり前の存在になったかっていうことかもしれませんね。

――最後に、いま現在ご関心をお持ちのテーマがあればお教えいただけないでしょうか。

 内海氏■装飾テントが好きで、よく見てます。オーニングとも言いますが、店舗のファサードに必ずついてる、あのテントです。店名とか書いてあって。あれもほんといろんなパターンがあって面白いんですよ。まったく同じものは2つないんじゃないですかね。ぜんぶ形が違う。あれって日本全国どこにでもありますから、どんな町を歩いても楽しめますよ。

――やはり日常を見つめていらっしゃるわけですね。

 内海氏■僕はずっと「あらゆる町は観光地だ」って言ってるんですが、どこを見たって、そこには好奇心のもとがあると思っています。近所の路地だって、僕にとっては世界遺産ですよ。

●内海慶一(うつみ・けいいち)
1972年生まれ。2003年よりWebサイト「日本ピクトさん学会」を、2009年より「100均フリーダム」を制作・運営。著書『ピクトさんの本』『100均フリーダム』(共にBNN新社)。

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