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  • 2012/09/26

【青木隆夫氏インタビュー】コンテンツとしての「歴史」の魅力とは何か──人気アニメ『織田信奈の野望』プロデューサーに聞く (2/4)

『織田信奈の野望』プロデューサー 青木隆夫氏インタビュー

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『織田信奈の野望』(GA文庫)

──たしかに美濃の斎藤道三や、五右衛門の子分ポジションにあたる川賊・川並衆など、脇役の男性キャラがいい味出してますね。

 青木氏■女性が戦っている世界ですけれど、戦場でそれを支える男たちの頑張りもちゃんと描きたい。象徴的なのが第10話「信奈絶体絶命」です。金ヶ崎の退き口という、歴史上有名な織田信長の撤退戦をなぞるんですが、ここでは浅井・朝倉両軍に挟まれ最大のピンチに陥った信奈たちを、500人の男衆が命を張って京に逃がすという図式になっています。

 あと、一連の合戦シーンでは、「人が死ぬ」ということをきちんと見せるよう意識しています。シリアスで重たいシーンがあればこそ、日常のちょっとしたシーンでほっとしたり和んだりできる。個人的には、そういうふうに作品にメリハリを付ける上で大きな役割を果たすのが、ねねだと思っています。

──城下の長屋で良晴の世話をするロリ……もとい8歳の女の子ですね。

 青木氏■ねねというのは、あの世界におけるほぼ唯一の非戦闘員であり、いわば日常の象徴なんですね。ねねが笑顔でいるシーンは、平和で温かい雰囲気であることを意味しています。逆に、ねねが泣いてる時はそれだけみんなが危機的状況に追い込まれているということにもなります。過酷な戦場と対比させる上でも、ねねの存在は大変重要だと思ったので、できる限り登場させてほしいと提案しました。ねねを上手に描くことができれば、合戦シーンも映えるし、お客さんも感情移入しやすくなるだろうと。

──単純に可愛いですしね。数あるキャラクターの中で、青木さんのお気に入りはこのねねですか?

 青木氏■大切にしているキャラであることは間違いないです。でも、一番好きなキャラというと、やっぱり信奈になりますね。あの信長のイメージに重ねて見られがちですが、信奈は決して非道でも魔王でもなく、新しい物好きで心根の優しい女の子なんです。アニメでは特に強調しているんですけど、信奈って、涙を流すシーンがわりと多いんです。一国の大名が、弱さの象徴である涙を家臣たちの前でおいそれと見せるなんて、普通はあり得ないですよね。でも、織田家の当主としての責任を果たそうとしながら、どこかで無理をしている。そういう部分を表現したかったんです。そんな信奈を、家老の丹羽長秀や柴田勝家、前田犬千代らが守っていという、疑似家族のような関係にも注目してもらいたいです。

 ただ、本当の意味で彼女を理解してあげられるのは、未来からやってきた相良良晴だけなんですよ。未来人の良晴でなければ信奈を理解できないということは、それだけ信奈の思想が先進的だということです。ようやっと理解者が現れたという部分も含めて、信奈はいろんな感情や物語を背負ったキャラクターだと思うので、すごく気に入っています。

──そのへんの心理描写をちゃんと押さえつつ、ストーリー展開はすごく早いですよね。

 青木氏■もともと原作もテンポよく進みますからね。特に第1巻の、桶狭間の戦いという大きなイベントまで一気に読ませる構成は秀逸です。アニメでは、先ほどもお話しした金ヶ崎の退き口までは描きたいというのがあったので、そのボリュームをいかに1クール(全12話)の中に組み込んでいくか、シリーズ構成・脚本の鈴木雅詞さんと議論を重ねました。

──でも、そうやって詰め込んだり端折ったりできるのも、歴史モノの利点ではありますよね。やっぱりみんな日本史は学校で勉強するし、大河ドラマなどで戦国時代に馴染みがあるので、物語の背景を各自で補完できるというか。

 青木氏■たしかに、そういったところで救われている部分はあるかもしれません。

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