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  • 2012/09/26

【青木隆夫氏インタビュー】コンテンツとしての「歴史」の魅力とは何か──人気アニメ『織田信奈の野望』プロデューサーに聞く (4/4)

『織田信奈の野望』プロデューサー 青木隆夫氏インタビュー

──正味な話、美少女アニメの人気や売上って、作画に左右されるところがありますからね。ここまで(第9話放送終了時点)「信奈」は作画のクリティも非常に高い水準を維持されていると思います。

 青木氏■実はこの作品は、作画枚数もカット数もそう多くはないんです。参考までに、僕たちStudio五組が最近手掛けた『咲-saki-阿知賀編』という麻雀アニメは、1話あたりのカット数が平均350カット、多いときは380カットくらいありました。一方で「信奈」は、平均して310カット。多くても350カットを超える事はなく、少ない時は270カットくらいで作っています。これは意図的にやっているんです。

 カット数が少なければ、それだけ作業の効率化も図れるという利点がありますが、ひとつのシーンを長く見せる必要があるため単調で飽きやすいフィルムになりがちです。そこで本作では、キメとなる止め絵カットや重要なシーンを総作画監督の高品有桂さんと宮前真一さんにきっちり描き込んでいただきました。お客様が長い時間みても気にならないシーンを増やすことでカット数の節約をしています。また合戦シーンでは3Dの歩兵や馬のモデリングを活用して画面密度の高い、重厚な戦闘シーンを描きました。でもこれらのテクニックは言うは易し……で、全体の演出や魅せ方の流れが上手くないと成立しません。その点において、熊澤監督率いる現場スタッフやクリエイターさんは本当に頑張ってくれていると思います。

──精緻な止め絵をじっくり見せる一方で、動かすところはしっかりカットを割って動かしているんですね。その現場の雰囲気はどんな感じなんですか?

 青木氏■今回の現場は、監督の熊澤祐嗣さんをはじめ、若手の方が多いんです。そして各セクションの方々が「私だったらそこはこう表現したい」とか「3Dでこんなの作ってみました」とか、作品を通じて自分のクリエイティビティを発揮してくれるんですよ。熊澤監督もそういった提案を受け入れるスタンスで仕事をなさるので、チームワークのよさがフィルムにも乗っかっているように思います。

 それから、とかくアニメ制作の現場では、作業の工程でもう一踏ん張りすればクオリティがぐっと上がるのに、「時間がないから」「大変だから」と諦めてしまうことが多々あります。やはり毎週納品があって、スタッフ全員が限界ギリギリのところで作業しているのでやむを得ない部分もありますが、「信奈」に関しては個々人が「もうちょっと粘ってみようか」と、すごいこだわってくれたんです。監督もそういうモチベーションを拾い上げ、現場のワガママを通してくれているので、「信奈」という作品は本当に恵まれているなと。作り手の意識の高さと情熱が、フィルムに反映されていると思います。

──では最後に、この作品をどんな人に観てもらいたいですか?

 青木氏■Studio五組はGONZOというアニメ制作会社の第5スタジオのスタッフが独立する形で設立されました。そのGONZO時代も含めて、僕らが制作したアニメには「可愛い女の子×○○」みたいなコンセプトの作品が結構あるんです。たとえば『咲-saki-』は可愛い女の子×麻雀、『こえでおしごと!』は可愛い女の子×声優、『ストライクウィッチーズ』は可愛い女の子×ミリタリーとった具合に。その線でいくと、「信奈」は可愛い女の子×歴史といえます。だから「信奈」をとっかかりに歴史に興味を持ってもらいたいとは思っていました。

 逆に、アニメは興味ないけど歴史は好きという方にもぜひ観ていただきたいです。「信奈」という作品は史実を軸に「if」の世界を楽しむアニメでもあります。そういう意味では非常にツッコミを入れやすい作品で、観る方の解釈次第でいくらでも話題が広がるのではないかと思います。

(取材・構成:須藤輝)

●青木隆夫(あおきたかお)
1974年生まれ、アニメーション・プロデューサー。2003年4月に株式会社ゴンゾの企画営業部に所属。TVアニメ『ソルティレイ』でアシスタント・プロデューサーを経験した後、オリジナル作品である『ストライクウィッチーズ』、『BLASSREITER』を企画立案。その他、『瀬戸の花嫁』、『咲-saki-』といった漫画原作のアニメ化でプロデュースを行う。現在は、ゴンゾ第5スタジオのコアメンバーが設立したStudio五組に所属。

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