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  • 2010/09/30 掲載

Evernoteとは何か?ビジネス活用でさらなる注目を集める“記憶のプラットフォーム”

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“記憶のプラットフォーム”として世界的にユーザー数を伸ばしているEvernote(エバーノート)。オンラインストレージサービスでもなく、ドキュメント共有サービスでもない。まったく新しい発想で利用できる、新感覚のパーソナルクラウドサービスだ。昨今では、ビジネス活用はもちろん、SAPなどの企業ソリューションとの連携も活発化してきた。Evernoteはなぜこれほどまでにヒットしたのか。どのようにビジネスに活用できるのか。周辺サービスも含めたその詳細について、詳しく見ていくことにしよう。

池田冬彦

池田冬彦

AeroVision
富士総合研究所(現みずほ情報総研)のSEを経て、出版業界に転身。1993年からフリーランスライターとして独立しAeroVisionを設立。以来、IT系雑誌、単行本、Web系ニュースサイトの取材・執筆やテクニカル記事、IT技術解説記事の執筆、および、情報提供などを業務とする。主な著書に『これならできるVPNの本』(技術評論社、2007年7月)、『新米&シロウト管理者のためのネットワークQ&A』(ラトルズ、2006年5月)など多数。

Evernoteとは何か? その登場の背景とは?

 Evernoteが今、大きく注目されている。2008年2月のサービス開始から着実にユーザー数を伸ばし、2010年8月には全世界でユーザー数が400万人を突破した。この要因として考えられるのが、iPhoneなどに代表されるスマートフォン市場の拡大がある。

 Evernote社が2010年に発表したブログによれば、ユーザー数が100万人に到達するまでには2009年の4月までと446日を要したが、その後、300万ユーザーから400万ユーザーへの増加した期間はわずか108日だった(図1)。また、モバイル端末からのアクセスでは、iPhone、iPad、iPodからのアクセスが全体の75.4%を占めており、パソコンとスマートフォン双方からの同期利用のシーンが定着していることを示している(図2)。

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図1 Evernote利用者の推移
(出典:Evernote Corporation,2010/08)
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図2 Evernoteのモバイル利用の比率
(出典:Evernote Corporation,2010/08)

 しかし、Evernoteが急成長を遂げた理由はそれだけではない。単なるオンラインストレージサービスを超えた、新しい発想でサービスを展開しているからだ。Evernoteのキャッチフレーズは「Remember Everything(すべてを記憶し、すべてを思い出せる)」というパーソナルクラウドサービスである。データはインターネット上のクラウドに保存され、パソコン、スマートフォンなどからいつでも、どこでもデータにアクセスできる。

 しかし、それだけでは単なるオンラインストレージサービスと変わりはない。Evernoteは、テキストメモや写真、PDFファイル、ボイスメモやオフィス書類(注:無料アカウントでは保存できるファイル形式に制約がある)など、ありとあらゆるデジタルデータを保存できるが、データのインデックシング(作成/修正日付や検索用のインデックスなど)を自動的に行うのが特徴だ。

 実際の利用方法はユーザーのアイデア次第だ。毎日食べた食事の写真をアップしてもいいし、旅行や会社のイベントなどの資料、メモなどをその都度記録してもいい。Evernoteに登録されたデータは、あとからいつでも検索機能を使って取り出すことができる。まさに、「脳の拡張」という記憶の拡張プラットフォームになり得る、ユニークなサービスである。

 2010年6月には日本法人が設立され、日本向けのサービス提供や日本企業との提携など、さまざまな形で日本市場への展開を推進していくことが決まっている(詳細については後半で解説する)。

Evernoteの仕組みはシンプル!?

 Evernoteはアカウントを作成し、パソコン向けのアプリケーションをダウンロードして利用する。Webブラウザでも利用できるが、使い勝手はアプリケーションの方が遙かに優れており、機能的に利用できる(図3)。

 Evernoteは、Windows、Mac向けのクライアントソフトのほか、iPhone/iPod touch、Android、BlackBerry、Palm Pre、Winodws Mobile 5.x、6.xOS端末向けのクライアントソフトが提供されている。これらを使って自分のアカウントでサインインを行い、保存されているデータのブラウズや新しいデータの作成が行える。

 これらのデータはEvernoteのサーバ上に保存され、どの端末からアクセスしても同じデータが同期される。パソコンで入力しておいたデータをスマートフォンでブラウズしたり、逆に、スマートフォンで入力したデータをパソコンで利用することが可能だ。いずれかの端末でアクセスを行うと、サーバと通信を行って常に最新の情報に更新される。また、新たなノートの作成や構成、削除なども直ちにサーバに反映する(図4)。

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図3 EvernoteのWindowsクライアントソフト
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図4 Evernoteの基本的な利用イメージ

 保存できるデータ容量の制限はない。1ヶ月あたりの転送量制限はあるものの、どんどん情報を追加・蓄積していけるのが魅力だ。たとえば、生まれたばかりの赤ん坊の「産声」からはじまり、日記やメモ、さまざまなイベントの資料、写真など、まさに、人生すべての情報を記録することだって可能だ。

 もちろん、Evernoteはビジネスツールとしての利便性も高い。クライアントソフトをワープロ代わりにして、直接報告書や日報などのレポートを作成したり、資料作成やプレゼン資料のためのWeb情報をクリッピングして保存することも簡単にできる。また、デジカメやスマートフォンで、名刺や紙の資料を撮影して保存することも可能だ。いつでも検索や時系列にブラウズして簡単に取り出せるので、あらゆる情報のデータベースとして利用することができる。

 なお、アカウントには無料版とプレミアム版(有料:月額5ドル、または年額45ドル)がある(表1)。無料版の最大転送容量は1ヶ月に最大40MBまでで、転送できるデータの種類はテキスト、画像、サウンド、PDFファイル、lnkファイルに制限される。また、1つのノートの最大容量は25MBまでだ。一方、プレミアム版はファイル形式の制限はなく、月間最大転送量は500MB、1つのノートの最大サイズは50MBまでだ。さらに、プレミアムアカウントでは、共有用のノートブックを作成して他のEvernoteユーザーと共有することもできる。

表1 スタンダードプランとプレミアムプランの違い
スタンダードプレミアム
月毎のアップロード容量40MB/月500MB/月
ノートの同期制限:画像、音声、ink、PDF全てのファイル形式
PDFファイル内の検索×
ノート更新履歴へのアクセス×
オフラインでのノート作成(iPhone/iPad/iPod)×
ノートの共有読み取り専用読み取り・編集共に可能
ノート1つの最大容量25MB50MB
セキュリティ機能スタンダードSSL暗号化対応/HTTPS通信対応
特別な画像認識機能×
広告非表示機能×
サービス利用にかかる費用無料$5/月または$45/年

【次ページ】なぜ、Evernoteはヒットしたのか?

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