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  • 2013/08/08

伊藤洋一氏:日本企業のイノベーションは「ループ」(つながり)の発想にあり!

豊富な機能を備えた高品質のスマートフォンや家電製品を作り続けているにもかかわらず、グローバル市場において日本企業は競争力を失いつつある。その最大の原因は、機器と機器がITプラットフォームを通じて相互に情報をやり取りし、コミュニケーションを行い、新しい価値を生み出していく「ループ」(つながり)の発想を欠いていることにある。そうした中で日本企業が再生を遂げていくために求められるのは何かを、デジタル経済の専門家で、三井住友トラスト基礎研究所 主席研究員の伊藤洋一氏が示唆した。

フリージャーナリスト 小山 健治

フリージャーナリスト 小山 健治

1961年生まれ。システムエンジニア、編集プロダクションでのディレクターを経て、1994年よりフリーランスのジャーナリスト、コピーライター。企業情報システム、BI、ビッグデータ、IT関連マーケティング、ストレージなどの分野を中心に活動中。著書に、「図解 情報・コンピュータ業界」(東洋経済新報社)、「One to One:インターネット時代の超マーケティング」(IDL)、「CRMからCREへ」(日本能率協会マジメントセンター)などがある。

「ループ」が広がる先にこそ面白いことが起こる

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三井住友トラスト基礎研究所
主席研究員
伊藤洋一氏
 これからのITは、単体製品や単体ツールとしての優れた品質や技術を追求するだけではなく、社会的な意義を持った存在として機能の進化を図っていく必要がある。その目指すべき方向性として、「ループ」(つながり)というキーワードを示唆するのは、三井住友トラスト基礎研究所 主席研究員の伊藤洋一氏である。

 「やじうまプラス」(テレビ朝日)や「ニュース・アンカー」(関西テレビ)など幅広いTV・ラジオ番組にコメンテーターとして出演し、金融市場からマクロ経済、デジタル経済にいたるまで、軽快な語り口の分かりやすい経済評論で広く知られる人物だ。

 7月25日に開催された「Oracle Optimized Data Center Summit」の特別講演に登壇した伊藤氏は、「なぜiPhoneが世界で爆発的に売れたのか。それは、アップルが作った製品がすべて『ループ』になってつながっているからです」と説いた。

 一つの例として取り上げるのは、アップルがiCloudを通じて提供している「iPhoneを探す」というWebアプリケーションである。iPhoneやiPad、iPod touchなどのiOS端末、あるいはMacを紛失したり、外出先で忘れたり、どこに置いたか分からなくなった場合、ブラウザからiCloudへアクセスし、今現在の場所を検索できるというものだ。また、それらのデバイスに対して、メッセージを送信したり、サウンドを鳴らしたり、リモートでロックやデータ消去を行うこともできる。

 「スティーズ・ジョブズ氏(故人)がすべてを自分の頭の中で考え、設計し、思いどおりのものを形にしたのがアップル製品。最初からループの仕組みができているのは、ある意味で当たり前なのです」。こうしたループが広がっていく先にこそ、「これまでにない面白いことが起こる」というのが伊藤氏の考えだ。

 「同じループのもとでiPhoneやiPadといった特定メーカーのデバイスだけでなく、たとえば我が家のクルマ、我が家のエアコンといった具合にさまざまな製品や機器がつながっていき、お互いに情報をやり取りするようになると、どんなことが起こるでしょうか?我が家にたどり着く少し前に、運転中のクルマからリビングのエアコンのスイッチを入れるといったことが可能となります。さまざまな製品を横断的につなぐテクノロジーが普及することで、人々の生活はもっと便利で効率的、快適なものになっていきます。これからのITの可能性は、そこにあると私は見ています。」

 また、ビッグデータ活用によって、こうしたループはさらに大きな広がりを持つ。

 インターネットの利用拡大、iPhoneやiPadに代表される多機能なモバイルデバイスの普及、センサー技術の発展などにより、ヒトの行動やモノの稼働にともなう多様かつ膨大なデータが次々に生成されてくる。

 これらのビッグデータを使い捨てにするのではなく、ITシステムに取り込んで、いま起こっている事象や変化をリアルタイムに判断したり、長期的に蓄積してデータ間の因果関係を分析したりすることで、ビジネスや生活に役立つ新たな価値を生み出すことができる。

 「ITの利用には必ず正の側面と負の側面がありますが、目の前にあるデータを活用したいという流れを止めることはできません。ならば、より前向きに世の中に役に立つITやデータの活用方法を考えるほうが、建設的ではないでしょうか」と伊藤氏は訴える。その意味からも、さまざまなデバイスやシステムが情報を発信する力、情報を読み取る力、情報をつないでいく力が、今後ますます重要となっていく。

【次ページ】テクノロジーを生かせる組織に変革

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