• 2015/01/06 掲載

阪急交通社、大規模基幹データベースを7か月で更改 5000本のSQLを1.5か月で全量検証

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阪急阪神HDの中核企業の1つで、旅行会社大手の阪急交通社は、同社の販売、仕入れ、顧客管理などの基幹業務を支える大規模データベースの更改を7カ月で完了した。
 阪急交通社では、商品の企画、原価管理から仕入れ、流通、販売、顧客管理、経理処理にいたるまで、同社のビジネスの基幹を担うITシステムを「Oracle Database」を用いて構築し、運用してきた。

 この基幹システムには、約800台のコールセンター端末を含む4,000台以上の業務端末が接続され、年間で処理される旅行の予約件数は300万件(2013年実績)にのぼるという。会員顧客の数は3,000万人を超え、全体のデータ容量は1.8テラバイトに達している。

 同社の基幹システムには、阪急交通社のWebサイトだけでなく、航空会社など外部のシステムとも連携し、システムに蓄積されたデータは社内のマーケティング分析にも活用されている。

 システム利用が集中する月曜日午前のピーク時におけるSQLの実行回数は1時間あたり6,400万件に達し、システム基盤には24時間/365日の安定稼働と高い処理性能が求められている。

 近年、旅行商品の販売量が急速に伸びていく中で、基幹業務システムに蓄積されるデータ量が想定を上回るペースで増大し、マーケティング分析のためのデータ抽出や検索処理における応答時間が長くなり、十分な分析ができないという課題を抱えていたという。

 この状況を打開するため、阪急交通社ではサーバ・ハードウェアの刷新と「Oracle Database」のアップグレードを含むシステム基盤の更改を決定した。

 データベースを安全に、かつ短期間でアップグレードするために、阪急交通社ではオラクルのデータベース・テストツール「Oracle Real Application Testing」を活用。「Oracle Real Application Testing」の機能である「SQL Performance Analyzer」により、本番環境のアプリケーションで実行されたSQL処理の履歴をすべて取得し、それを検証環境で再現することで、性能分析や問題点の洗い出しを行った。

 アプリケーションの安全かつ確実な移行を実現するため、約5,000本に上るSQL処理の全量検証を行い、約1.5カ月の短期間で完了することができたという。

 阪急交通社は、短期間でのシステム移行や性能改善のために、「Oracle Database」のデータ保護やレプリケーションを行う「Oracle Active Data Guard」も合わせて活用した。

 移行前のシステムと新データセンター間で、「Oracle Active Data Guard」によってデータベース内のデータを常に同期させ、移行当日の差分データについては旧システム停止後の数分間で同期させるという方法をとることで、データおよびシステム全体の移行作業を当初の目標であった48時間以内に完了できたという。

 さらに、新システムでは更新系データベースと、データ抽出・検索に用いる参照系データベースを分け、両社を「Oracle Active Data Guard」で同期するという設計により、応答時間の改善を実現した。コールセンターのオペレーターが使用するシステムの応答時間も大きく向上し、予約登録処理にかかる従来の1件あたり20~30秒程度から約5秒まで短縮され、予約受付にかかる時間を全体で約30%短縮できた。

 阪急交通社のサーバ・ハードウェアの刷新とデータベース・テストツール、データ保護・レプリケーションツールを活用した「Oracle Database」のアップグレードを含むシステム基盤の更改プロジェクトは、TISが手がけた。

 阪急交通社の総合管理本部 情報システム部 情報システム課長である石塚 創氏は、「本システムは、経理処理に直結する仕組みであり、外部組織のシステムとも連携しています。そのため、データ移行の失敗によって数値処理に間違いが起きることは許されません。同様に、業務に支障が出るようなアプリケーションの不具合も、あってはならなかったのですが、オラクルのテクノロジー製品とTISの技術力により、短期間で無事に移行・アップグレードをすることができました」とコメントしている。

 また、TISの産業事業本部 東日本産業事業部 ネットコミュニケーション第2部 主査 井上淑臣氏は、「DBの移行アップグレードに伴う約5000本のSQLの全量検証は、工数的に現実的ではありませんでしたが、オラクルのテクノロジー製品を活用することで、検証作業の期間短縮による業務ダウンタイムの極小化と、従来課題であったデータベース基盤のレスポンス性能向上を実現できました。今後もオラクルの先進テクノロジーを効果的に活用したシステム環境の強化により、阪急交通社様のさらなる成長/発展を支えていけるよう支援してまいります」との声明を発表している。

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