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  • 2015/04/21 掲載

ユーグレナ、コイニー、クラウドワークスに学ぶ 社会を変えるイノベーションの作り方

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経済産業省は、起業を志す人々を積極的に応援するための表彰制度「日本ベンチャー大賞」を新設し、2015年1月22日に受賞企業を発表した。新経済サミット2015では、受賞企業の代表者としてユーグレナの出雲 充氏、コイニーの佐俣 奈緒子氏、クラウドワークスの吉田 浩一郎氏が登壇。社会に大きなインパクトを与えるベンチャーが目指す未来について、経済産業省の松永 明氏、サイバーエージェントの藤田 晋氏とともに議論を交わした。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

ベンチャーを積極的に応援する日本ベンチャー大賞とは

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日本ベンチャー大賞の受賞企業、ユーグレナ、コイニー、クラウドワークスのトップが「イノベーションの起こしかた」をテーマに議論

 まず経済産業省の松永氏が、今回の日本ベンチャー大賞の目的と意義について簡単に説明した。そもそも同省が日本ベンチャー大賞を創設した理由は、ロールモデルとなる新事業を創出したベンチャー経営者たちを社会で称えていく環境をつくりたかったと語る。

「今回、日本ベンチャー大賞に選ばれた企業家は高い志を持ち、社会に大きなインパクトを与える事業ばかりだ。世界的にみて日本の起業活動は最も低い水準にあり、なかなか創業も活発にならない。ベンチャーは良く言うと異端児、悪く言うと変人がやるものという社会認識がまだ残っているからだ。日本経済を活性化するためには、起業を志す新しい人々が、さまざまな社会課題に果敢にチャレンジし、世の中を良い方向に舵取りできるようにしなけれならない」(松永氏)

第1回日本ベンチャー大賞を受賞したユーグレナ

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ユーグレナ
代表取締役社長
出雲 充氏
 記念すべき初の「日本ベンチャー大賞」を受賞した企業がユーグレナだ。世界の食糧問題や環境問題を解決する取り組みが評価されての受賞だ。

 同社代表取締役の出雲氏は「よくぞミドリムシに総理大臣賞をお与えいただきました。日本のミドリムシ研究者を代表し、御礼を申し上げたい。我々はミドリムシを大量に育てる世界初の技術を発明した。ミドリムシは虫でなく、ワカメや昆布と同じ植物だが、動物のように動く。栄養価が高く、世界の栄養失調の問題を解決できる。また増殖も速く、バイオ燃料の生産技術として大変な付加価値がある。この国産の新エネルギーで飛行機を飛ばすそうとしている」とユーモアたっぷりに語った。

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コイニー
代表取締役社長
佐俣 奈緒子氏
 「女性起業家賞」を受賞したのはコイニーだ。

 代表取締役社長の佐俣氏は、同社の取り組みについて次のように語った。

「我々はキャッシュレス社会を目指し、個人や小さな商店でも導入できる簡易カード決済システムの普及に向けて注力している。iPadなどのイヤホンジャックにリーダーを挿すと決済端末になる。従来のクレジットカードは、遅い・高い・難しいという問題があったが、我々のサービスはこれらを解決できた。たとえば審査は2営業日、手数料は3.24%と従来の半分以下、操作も簡単で、売上もリアルタイムで管理できる。サービス開始から2年になり、全国で利用されるようになったが、まだ街中でコイニーを見るケースは少ない。もっと利用を広げられるように精進したい」(佐俣氏)

 日本では現在、GDPの約55%が現金による取引きで、クレジットカードの利用は15%と少なく、欧米に比べて遅れている。今後、外国人の観光客が増えるなかで、こういった決済インフラの提供が重要になることからの経済産業大臣賞の受賞だ。

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クラウドワークス
代表取締役社長
兼 CEO
吉田 浩一郎氏
 クラウドワークスは「ワークスタイル革新賞」を受賞した。労働におけるスキマ時間や働き方の可能性を引き上げてくれるという点で評価されたのがクラウドワークスの吉田 浩一郎氏だ。

 いよいよ企業の正社員率が50%を切り、20世紀標準の正社員という働き方がメジャーでなくなる時代に入った。そのような状況で、同社は働き方の革命を進めている。

「我々のサービスによって、時間と場所にとらわれずに、インターネットを介して個人でも大企業と働けるようになる。我々は与信の新しい仕組みをつくり、企業に所属しない個人が働き方の選択肢を選べる時代をつくっていきたい。そしてベンチャーの代表という気概をもって頑張っていきたい」(吉田氏)

【次ページ】ミドリムシの事業は非連続イノベーション

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