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  • 2015/09/11 掲載

9月からはじまるハロウィン商戦、ルーツを知ればビジネスチャンスが見える

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日本においても、若者を中心に国民的行事となりつつあるハロウィン。渋谷や六本木などでは仮装をした男女が集まり、ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどのテーマパークでもかぼちゃの飾りつけに余念がない。このハロウィンの起源は古代ケルト人の収穫祭だと言われているが、どうやって日本に伝わり、盛り上がりを見せるイベントとなったのだろうか。

中森 勇人

中森 勇人


中森勇人(なかもりゆうと)
経済ジャーナリスト・作家/ 三重県知事関東地区サポーター。1964年神戸生まれ。大手金属メーカーに勤務の傍らジャーナリストとして出版執筆を行う。独立後は関西商法の研究を重ね、新聞雑誌、TVなどで独自の意見を発信する。
著書に『SEとして生き抜くワザ』(日本能率協会)、『関西商魂』(SBクリエイティブ)、『選客商売』(TWJ)、心が折れそうなビジネスマンが読む本 (ソフトバンク新書)などがある。
TKC「戦略経営者」、日刊ゲンダイ(ビジネス面)、東京スポーツ(サラリーマン特集)などレギュラー連載多数。儲かるビジネスをテーマに全国で講演活動を展開中。近著は「アイデアは∞関西商法に学ぶ商売繁盛のヒント(TKC出版)。

公式サイト  http://www002.upp.so-net.ne.jp/u_nakamori/

photo

日本のハロウィン関連市場、経済効果は1,000億円以上?

 毎年10月31日に行われるのが通例のハロウィン。英語圏では魔女やお化けに仮装した子供たちが、かぼちゃの提灯(ジャック・オ・ランタン)を頼りに、近所の家を訪ねて、「トリック・オア・トリート(お菓子かいたずらか?)」と唱え、お菓子をねだる光景が有名だ。

 日本におけるハロウィンの起源は、玩具大手のキデイランド原宿店が1970年代に関連商品を販売したのが始まりだとされている。1989年には同店がハロウィンパーティーを開催し、これを機に娯楽行事の一つとして浸透し始めた。

 ハロウィン普及する以前の日本には、10月にこれといったイベントが無く、さまざまな業種の企業にとって売り上げが落ち込むエアポケットとなっていた。そのため11月にボジョレーヌーヴォーの解禁イベントをフランスから持ち込むなど、お祭り好きの日本人のハートを射止める販促イベントが待たれていた。

 ターニングポイントとなったのは、1997年から毎年開催されている「KAWASAKI Halloween(カワサキ ハロウィン)」で3,000人の仮装パレード。いまや、毎年10万人がこのパレードに訪れる。同年には東京ディズニーランドでも仮装したキャラクターがパレードする「ディズニー・ハロウィーン」を開催。好評を得たことから、2001年からは10月中の開催となり、現在は9月初旬から始まるドル箱イベントに成長した。これがハロウィンの9月スタートの火付け役になったと言われている。

 実際、ここ数年の日本におけるハロウィンの経済効果は大きく、仮装衣装の売り上げをはじめ、飲食店や量販店での関連商品の販売や菓子メーカーのパッケージ、百貨店の企画販売など1,000億円に上ると言われ、ホワイトデーの640億円に迫る勢いだ。中には飾りつけの提灯用として、かぼちゃの売り上げが伸びたという一次産業への貢献も見られる。

 そんな日本でもメジャーになったハロウィンだが、そのストーリーはあまり知られていない。

意外と知らないハロウィンのルーツ

 アイルランドの古い伝記によれば、ハロウィンとはカトリック教会が祝う「諸聖人の日=聖人と殉教者を記念する日(11月1日)」の前夜のこと。“諸聖人の日”の旧称"All Hallows"の前夜“eve(イヴ)”から"Hallows eve"が訛って、"Halloween(ハロウィン)"と呼ばれるようになったとされている。

 ハロウィンには秋の収穫を祝うとともに死者の霊が家族を訪ねてくると信じられ、魔物から身を守るために仮面をかぶり、たき火をたいていた。これが原型となり、当地で採れたカブをくりぬいた提灯を作り、お化けや魔女に扮した子供たちが家を回るお祭りとなった。

 ちなみにカブがかぼちゃになったのは、アメリカ大陸の発見とともに移住をしてきた移民が同地で大量に採れるかぼちゃをカブの代用にしたことから置き換わったからだそうだ。

 このかぼちゃの提灯は「ジャック・オ・ランタン」と呼ばれている。“ジャック”はある男の名前で、ジャック・オ・ランタンは「ランタンを持つジャック」という意味。そしてジャックは稀代の怠け者で嘘をついては人をだましていた人物だ。

 物語は、酒場で酒を飲んでいたジャックが酒代に困っていたところに人間の魂を取りに来た悪魔と出会うところから始まる。

 ジャックは悪魔に「俺の魂をやるから最後に一杯飲ませろ」と取引を持ち掛ける。承諾した悪魔は銀貨に変身し、ジャックの手のひらへ。ジャックは支払うふりをしながら、変身した悪魔を十字架で押さえつけ財布へ閉じ込めてしまう。そして、「解放してほしければ今後10年、魂を取りに来ないこと」と新たな取引を持ち掛けると悪魔を開放する。

 話はここで終わらない、10年後にやってきた悪魔に「魂をやる前に最後のリンゴが食べたい」とリンゴの木に登らせてあらかじめ刻んでおいた十字架でまたもやノックダウン。ジャックは自分の魂を取りに来ないことを条件に苦しむ悪魔を木から降ろしてやる。

 2度あることは3度ある。ジャックが天寿を全うしたとき、生前の悪事から天国には入れず、地獄へと行くが、待ち受けていた悪魔から「君の魂は契約でもらえないことになっているから」とまさかの“入獄拒否”をされてしまう。

 行き場のないジャックは「昔のよしみで最後の願いを聞いてくれ」と道中の灯りを懇願する。ジャックは悪魔から地獄の炎を受け取り、道端に転がっていたカブをくりぬいて提灯にし、あてのない旅路へ。やがて、あの世をフラフラとさまよう“ジャックのランタン”は死人の魂の代名詞となり、現在のかぼちゃ提灯(ジャック・オ・ランタン)に至るというお話だ。

 つまり、ハロウィンはクリスマスとは異なり、カトリック教会の公式イベントではなく、いわゆる“非公認”のお祭りなのである。ストーリーも本来主役となるべき”神“ではなく、タブー破りとも言える悪魔や死霊が主役となっている。

【次ページ】ハロウィンとふなっしーにある意外な共通点とは?

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