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  • 2016/02/18 掲載

日本とタイ、デザイナーの感覚が違う?タイでオフショアデザイン事業ができる理由

起業家 清弘文哉 さんインタビュー(前編)

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タイのバンコクで、日本のゲーム会社などのクライアントを抱えるデザイン会社「J CREATION」を起業した清弘 文哉さん。現地タイ人のデザイナーを率いてゲームのキャラクターや背景のイラスト、LINEスタンプなどの制作を手がけ、売上を伸ばしているという。かつて日本の会社で人事部に勤めていたという彼が、オフショアのデザイン事業を展開することになった経緯や、日本と遜色ない品質の制作体制をタイで実現した取り組みについて話を聞いた。
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J CREATION CEO 清弘 文哉氏

「3年経ってもまだ30歳前」のタイミングで起業

――大学時代、海外数カ国で働かれた経験をお持ちだとか。

清弘さん:実は、大学3年生で就職活動をしている時、「このまま社会人になっていいのか?」と漠然とした疑問と物足りなさを覚えたんですよね。それで、海外でなら自分を鍛えられるだろうと思い、大学を休学して、海を渡ることにしました。

 帰国後は大学に戻り、卒業後は主に駐車場に関するコンサルティングを行う事業会社の人事部で働いていました。新卒・中途・アルバイトの採用を担当し、説明会から面接、調整作業にいたるまで、ひと通り行っていました。

 海外でもビジネスを展開している会社だったので、外国人の求職者とSkypeで面接する機会も多くありました。社員にも面白い人が多かったです。特に、直属の上司が人事部長だったこともあり、早い段階から会社のヒトやお金の流れについて意識するようになったのは、良かったですね。

――起業は日本でもできますよね。なぜ、あえて海外でビジネスをしたいと?

清弘さん:理由は2つあります。1つは、20代半ばという若さ。もう1つは、海外では日本人の数そのものが少ないので、目立てるということです。会社を飛び出したとき、僕は26歳。もし海外でのビジネスが上手く運ばずに3年経って帰国しても、まだ三十路には手が届かないので、やり直しがきくと判断しました。迷いはありませんでした。

 また、どうせ再び海外に出るのなら、若いうちに挑戦したほうがいいと考えました。グローバル化の時代、僕らの世代は企業に属していようが、起業しようが、何かしら海外と関わりを持たなくてはなりませんから。

“どうせ苦労するなら、好きな国がいい”とタイでの起業を決意

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――数ある国のなかで、タイを選ばれた理由を伺えますか?

清弘さん:学生の頃、オーストラリアにカナダ、ニューヨークと、先進国での暮らしをひと通り経験した後にアジアを回り、経済がダイナミックに成長を続けている、“キテる感じ”に圧倒されました。

 中でもタイを選んだのは、何度も旅行で訪れるなかで、直感的に“良い”と感じたから。毎回、何人もの現地の人に接していましたが、嫌だと思う人が一人もいなかったんですよね。海外で起業するのはどこの国でも大変だろうから、どうせなら好きな国にしようと考えたんです。

――タイにはどんなタイプの人が多いんですか?

清弘さん:タイは微笑みの国と言われる通り、大らかで細かいことをあまり気にしない国民性です。彼らがよく口にする「サバイ・サバーイ」という言葉は、“楽に楽に”という意味で、沖縄の方言「なんくるないさー」と似たような感じで使われます。

 同じ東南アジアの国でも、ベトナムには中華系が多かったり、戦争の歴史があるからか、どちらかいうとセカセカした気性の人が多い印象が個人的にはありますが、タイには侵略された歴史もなく、外交の姿勢もマイルドです。悪く言えば、少し外面がいい八方美人タイプで、日本人に通じる部分があります。

――タイには、親日の方が多いんですか?

清弘さん:そうですね。僕がタイでデザイン会社を立ち上げた理由の1つもそこにあります。タイ人の対日感情はとても良くて、日本人だというだけで、好意的に接してくれる人がたくさんいます。なかには日本の製品を作りたいと考える人も多くて、タイで日本のアニメやゲームはかなりの人気を集めています。そのせいか、タイには優秀なデザイナーやイラストレーターが多いんです。

 しかも、タイ人デザイナーの平均月給は6~8万円程度(※2015年12月時点)と、日本より断然低価格です。イラスト制作の事業を始めたのは、タイで現投資家と出会ったことがきっかけですが、タイ人デザイナーの質と価格の優位性に大きな商機を見出しました。

 社名のJ CREATIONの“J”は、Japanの“J”です。タイの方たちに日本のモノを作っていることが伝わるようにと名づけました。その甲斐あって会社立ち上げからわずか一ヶ月で、40人以上もの入社希望者から応募がありました。

【次ページ】具象画が得意なタイ人、抽象画が得意な日本人デザイナー

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