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- 2016/10/11 掲載
共同創業者CEOブライアン・ハリガン氏に聞く、ハブスポットの「組織風土」と「哲学」
日本に「貴乃花」のような企業をつくりたい
ハブスポット創業の背景にあった「人気ブロガー」の存在
──ハブスポット創業の経緯について教えてください。ハリガン氏:ハブスポットはちょうど10年前、2006年の夏に立ち上げた会社です。
創業の背景には2つの出来事がありました。ハブスポット創業以前、私はベンチャーキャピタリストとして数多くのスタートアップ企業に投資していました。そこでは、広告やEメールのリストの購入、展示会などに巨費を投じるという、いわゆる昔ながらの手法に費用をかけてマーケティングしていたのです。
しかし、そのような手法をただやるだけでは無駄な時間とお金がかかるだけでした。多くの人がそういう手法に辟易しており、そのような従来のマーケティングでは通用しなくなっていました。これが1つです。
2つ目は、私の友達が運営していたブログが関係します。彼のブログはお金をかけていないのに、スタートアップ企業がお金をかけて作ったブログよりもずっと人気がありました。
彼に人気の理由を聞いてわかったのが、人間の生活スタイルや購買行動が変わってきていることに眼を付けて、グーグルやSNSを活用していたということ。人間の行動にあわせた形で、ブログを展開していたのです。そこで私は、人の変化にマーケティングの手法をあわせ、昔ながらのアウトバウンドではなく、新しいインバウンドにマーケティングのやり方を変えていこうと思いました。
10年周期で変わるインターネット、2016年以降に起こる変化とは
──なるほど。人間の生活や購買行動を変えた大きな要素に「インターネット」があると思いますが、インターネットを取り巻く状況をどのように見ていますか。ハリガン氏:インターネットは、およそ10年周期で変化があります。20年前の1996年にはブラウザ、Webサイトが生まれた時代、2006年はモバイルの時代、2016年はAI、メッセンジャー、(チャット)ボットの時代です。まさに、変革の時期なので、とても興味深い状況だと思います。
これはWeb、モバイル、チャットボット、それぞれが共存するということ。つまり、マーケッターはそれぞれの時代に生まれたあらゆる方法で情報にアクセスできるということを考えねばなりません。
「将来こうなるのではないか?」という話をします。「いままでの10年」は、グーグルやヤフーを検索すると(1ページ目の)検索結果に10個程度のリンク一覧が出てきただけでした。これからも変わり続けていくと思いますが、実は今、2つの変化が起きています。
グーグルで検索すると「答え」がわかるようになっていることにお気づきでしょうか? グーグルはリンク一覧ではなく、直接答えを出そうとしているのです。これを受けて、コンテンツクリエイターも変わっていかないといけないと思います。
一方「これからの10年」では、サーチエンジンの精度はもっとよくなっていくでしょう。アップルのSiriや、アマゾンのAlexaといった人工知能を駆使したインテリジェントサーチエンジンが増えてくるからです。96年にブラウザを使うサイトがあって、2006年はモバイル。2016年はMessengerなどのチャットボットになる。これらの3つの方法で情報にアクセスできるようになると考えています。
ハブスポットはこれらの次世代サーチエンジンにも最適化していかなければなりません。また、グーグルのランキングは、「ロングテール」だけでなく、これからは「ファットヘッド(短いキーワード)」になっていきます。明確に答えを出していかないといけないのです。
(顧客と企業の関係性を示す)ファネルのステージには「ビジター(サイトの訪問者)」「カスタマー(顧客)」「ストレンジャー(接点のないユーザー)」があります。これらを取り込むためにwebサイト、ブログ、SNS、SEO、動画、CRMを展開する際に、合計6つのチャネルが必要となります。それぞれソフトウェアが6つ、請求書も6社に送らないといけない。私はこれをひとつにするビジネスモデルを作っているのがハブスポットです。
【次ページ】ハブスポットの組織風土を醸成する「カルチャーコード」
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