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- 2016/10/14 掲載
世界の成功者がこぞって「カミングアウト」する理由
#NationalComingOutDay
「ナショナル・カミング・アウト・デイ」とは?
1987年10月11日、50万人がレズビアンとゲイの権利を求めて、米国ワシントンD.C.で行進を行った。このようなデモは米国の首都ワシントンで2回目であり、これがきっかけで数多くのLGBT組織が設立された。この中には、米国電気通信大手AT&TのLGBT従業員による団体「LEAGUE」も含まれる。この行進に参加したLGBT当事者たちは、自分たちは反LGBT活動に対し防御に徹することが多いことに気付き、この2回目の行進を記念する日をつくることにした。こうして、LGBT当事者が自分に正直に、まわりにオープンに生きていける平和な世界を目指すナショナル・カミング・アウト・デイが始まった。
米国のLGBT公民権団体Human Rights Campaign(以下HRC)は、ナショナル・カミング・アウト・デイを特集した動画を公開し、差別や社会生活に苦しむLGBTコミュニティを勇気づけた。
「カミングアウト」のメリットとリスク
カミングアウトというと、一般的に、「LGBT当事者が自分以外の人間に自分がLGBTであると告白すること」を指す。この「自分以外」には、「友人」「家族」「同僚」「上司」など、さまざまな種類の人間が含まれている。そのため、「友人にカミングアウトする」「家族にカミングアウトする」という風に、段階的に複数回の「カミングアウト」が発生する。つまり、「カミングアウト」と一口にいっても、1回で終わるものではないのだ。それゆえに、誰に、いつカミングアウトするのかの決断は容易ではない。HRCは「Resource Guide to Coming Out(カミングアウトのためのリソースガイド)」にカミングアウトすることによるメリットとリスクを挙げている。
カミングアウトすることによるメリット
・オープンで隠し事のない人生が送れる
・より親密で偽りのない人間関係を築ける
・本当の自分として知られ、愛されることで自尊心を構築する
・アイデンティティを隠すことによるストレスを軽減する
・自分以外のLGBT当事者とつながることができる
・強く生き生きとしたコミュニティーに入ることができる
・LGBTがどんな人々でどんな人生を送っているのかという神話とステレオタイプを払いのける手助けとなる
・ほかの人たちのロールモデルになる
・若いLGBTが上の世代のLGBTについて来やすくする
カミングアウトすることによるリスク
・みんながみんな理解して受け入れるわけではない
・家族、友人、同僚がショックを受けたり、混乱したり、 敵対的になることさえあり得る
・人間関係の中にはこれから先ずっと変わってしまうものもある
・ハラスメントや差別を経験するかもしれない
・身に危険が及ぶかもしれない
・若い人、特に18歳以下の人は家を追い出されたり、両親からの経済的なサポートを失うかもしれない
メリットとリスクを挙げたうえで、HRCは「カミングアウトするにしてもオープンに生きるにしても、正しい方法も間違った方法もありません。カミングアウトするかどうか選ぶことは、いつでもどこでもカミングアウトしなければいけないという意味ではありません。どうやって、どこで、いつというのは、あなたにとって正しいかどうかをもとに、あなたが決めることです」としている。
成功者が「カミングアウト」する意義
「ナショナル・カミング・アウト・デイ」前後には例年、「カミングアウトしたセレブ」という特集記事が各所で見られる。今年カミングアウトしたセレブは、アスリート、女優、俳優、ユーチューバ―、映画監督、ロックバンドのボーカル、スタントマン、作家などだ。【次ページ】2016年にカミングアウトした成功者一覧
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