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  • 2017/04/27

サーキュラー・エコノミーのビジネスモデルは「摩擦的失業」を解消できるか

サーキュラー・エコノミーとは、製品やサービスを大量生産して大量消費するというサイクルから脱却し、バリューチェーンを速く短く循環させ、製品や資産の価値を最大にマネタイズするという新たな経済成長モデルだ。IoTやAI、ロボティクスなどの台頭で人々の生活や経済活動は変化しつつあるが、同時に、従来のビジネスモデルを見直す動きも出ているのである。新経済サミット2017では、「サステイナブルな未来のビジョン」をテーマに、欧州発祥の概念として注目される「サーキュラー・エコノミー(循環型経済)」の実現に取り組むLIFULLの代表取締役社長 井上 高志氏と、Mistletoeで代表取締役社長兼CEOを務める孫 泰蔵氏が登壇。サーキュラー・エコノミーの代表的な事例、ビジネスモデルを紹介するとともに、両氏が推進する「Living Anywhere」プロジェクトを紹介した。

ITジャーナリスト 鈴木 恭子

ITジャーナリスト 鈴木 恭子

ITジャーナリスト。明治学院大学国際学部卒業後、週刊誌記者などを経て、2001年よりIT専門出版社に入社。「Windows Server World」「Computerworld」編集部にてエンタープライズITに関する取材/執筆に携わる。2013年6月に独立し、ITジャーナリストとして始動。専門分野はセキュリティとビッグデータ。

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技術進化の先を見据えたビジョン「サーキュラー・エコノミー」が目指すもの
(© tonefotografia – Fotolia)


サーキュラー・エコノミーとは何か?

 モデレーターを務めたアクセンチュア 取締役会長 の程 近智氏はセッション冒頭、サーキュラー・エコノミーについて説明した。

 サーキュラー・エコノミーとは、「調達/製造/使用/廃棄」といった「大量生産して大量消費する」サイクルから脱却し、バリューチェーンを速く短く循環させ、製品や資産の価値を最大にマネタイズする、新たな経済成長モデルである。

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アクセンチュア
取締役会長
程 近智氏

 サーキュラー・エコノミーの中には「シェア(共有)」という概念も含まれる。ある試算によると、サーキュラー・エコノミー市場は、2030年までに4.5兆ドルに達すると予測されている。

 さらに、環境に対する負荷は、60~85%は低減できるという。つまり、「利用されていない」「空き状態にある」資産を徹底的かつ、効果的に活用することで、4.5兆ドルの市場が誕生すると期待されているのだ。

サーキュラー・エコノミーの具体的なビジネスモデル

 程氏は、サーキュラー・エコノミーの具体的なビジネスモデルには、次の5項目があると説明する。

回収とリサイクル
製品のサービス提供
シェアリング・プラットフォーム
製品寿命の延長
循環型サプライ

 たとえば、「回収とリサイクル」は従来のリサイクルの概念と異なり、設計/製造段階からリサイクルできる材料を調達したり、稼働率の低い製品や住宅などは共有したりすることを指す。

 すでにドイツのBMWでは、電気自動車「BMW i3」で、95%の部材に生物由来の再生可能素材を使用している。これにより原料調達リスク低減と軽量化、コスト削減を同時に実現したという。

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BMWでは電気自動車「BMW i3」で95%の部材に生物由来の再生可能素材を使用している

 また、製品寿命の延長例では、米国キャタピラーの「再生部品によるビルド製品の販売」がある。

 同社は再生部品で構成された製品に新品同等のパフォーマンスを保証し、新品製品価格の約半分で提供した。これにより、30億ドル以上の利益(粗利益で1.5倍)を獲得したとのことだ。

フィリップス、ミシュランのサーキュラー・エコノミー事例

 さらに特徴的なのが「製品のサービス提供」である。程氏は、「今後は、モノを販売するビジネスモデルから、モノが生み出す価値をサービスとして提供することに主眼を置いたビジネスモデルにシフトする」と説明する。

 たとえば、オランダのフィリップスは、米国ワシントンDCの公共駐車場にLED照明環境を提供する際、「LED電球を販売する」のではなく、「LED電球に取り替えたことで削減された電力料金の一部を徴収する」というビジネスモデルに変更した。これによりワシントンDCは、年間約68%の電力費削減に成功し、一方のフィリップスも、200万ドル以上の収益を確保できたという。

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サーキュラー・エコノミーの5つのビジネスモデルと代表的事例

 もう1つ、「製品のサービス提供」で注目されているのが、ドイツのタイヤメーカー、ミシュランのビジネスモデルだ。

 同社は、運送会社向けのサービスとして、走行距離に基づいてタイヤのリース料金を請求する「サービスとしてのタイヤ(Tire as a Service)」を開始した。

 程氏は、「テレマティクスやセンサー技術で利用状況データを収集できるようになった現在、成果(走行距離)に応じて課金するモデルは、リサイクルの観点からも大きな意味を持つ。ミシュランは使用済み製品を100%回収し、リミッドタイヤとして再製品化を実現できる」と、その効果を説明した。

【次ページ】AIやロボティクスの台頭で起こるのは「摩擦的失業」だ

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