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  • 2019/03/15 掲載

サーバレスのデメリットとは? コンテナとの比較や事例から学ぶべきこと

ガートナーが指南

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“クラウドファースト”を追い風にサーバレスが注目を集めている。ただし、その名称から、この革新的な新技術を十分に理解できていないケースも数多い。果たしてサーバレスとはどのようなものなのか。また、仮想化やコンテナとどんな違いがあるのか。さらに、今後はどう普及することになるのか。ガートナーでプラクティス バイス プレジデントを務めるジェフリー・ブルックスがサーバレスについて基本の“き”から解説する。
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サーバレスアーキテクチャとは何か?
(© blankstock – Fotolia)

「サーバレス」とは?

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ガートナー 
プラクティス バイス プレジデント
ジェフリー・ブルックス氏
 今、注目を集めながら、理解が困難なバズワードの1つに「サーバレス(アーキテクチャ)」がある。文字通りに解釈するなら、コンピューティング・システムでありながらサーバが存在しない構造だ。それはどんな構造なのだろうか。

 ブルックス氏は、「コンピューティング・システムである以上、サーバは確かに存在します。ユーザーにとっては隠蔽化され、見えない存在となっているだけです。その意味で、厳密には正しい言葉ではなく、それが誤解を招く原因となっています」と説明する。

 このサーバレスはFaaS(Function as a Service)と言い換えられるという。FはFunctionを意味し、SaaSなどと同様、必要に応じて機能を利用するコンピューティング/サービス形態ということだ。

「つまり、サーバレスはサーバやDB、APIなど、ITインフラにまつわる一切をひとまとめにしたサービスです。機能を利用するためにほかに必要なものといえば、機能を記述したコードと利用料程度です」(ブルックス氏)

サーバレスの登場は進化の“必然”

 サーバレスの登場は、コンピューティング環境の抽象化の歴史からも説明できるという。

 古くはモノシリックな(一枚板の)環境がクライアント/サーバ環境に移り、ハードウェアを仮想化する仮想化技術が生まれ、OSを仮想化するコンテナが誕生した。

 そこでは一貫して取り組まれてきたのが、コンピューティング環境の仮想化の粒度縮小化だ。

 その延長としてトランザクションを抽象化するために生まれたのがサーバレスというわけだ。

 拡張の単位は、ハイパーバイザーでは仮想マシン、コンテナではアプリケーション、サーバレスでは機能となる。

サーバレスと仮想マシン、コンテナを比較

 それらのメリット/デメリットについてブルックス氏は次のように説明する。

 まず仮想化は、利用を通じて物理サーバの使用率を高められ、プロビジョニングを高速化でき、万一の際の復元力も高められることがメリットだ。

 ただし、仮想マシンの無秩序な拡大を招きやすく、それだけ管理コストが肥大化しがちなのがデメリットとなる。

「その技術特性から、『モード1』を中心とする幅広い従来型アプリの稼働に向いています。ただし、『モード2』となると、“遅さ”を指摘する声もすでに少なくありません」(ブルックス氏)

 次に「アプリ指向の抽象化」(ブルックス氏)であるコンテナは、アプリとOSをパッケージ化することで可搬性、ひいては俊敏性も格段に高められることがメリットだ。作業の手間もそれだけ軽減され、運用コストも削減も期待できる。

 対するデメリットとは、実は古くから存在するもののいまだ技術やノウハウの蓄積が多くの企業で乏しく、運用が困難なことだ。運用ツールの成熟度の低さも、それに拍車をかけているという。

「開発生産性の向上や継続的インテグレーション/継続的デリバリー(Continuous Integration:CI/Continuous Delivery:CD)におけるコンテナの有効性は明らかです。ただし、技術への理解が現時点でまだまだ不足しています。当社でもアナリストがコンテナでアプリを作りましたが、どうすれ良いのかが教えてもらっても理解できず、私も結局は利用を諦めざるを得ませんでした」(ブルックス氏)

 とはいえ、開発生産性の向上のためにPaaS環境でのコンテナ利用に着目する企業は増加中だ。ブルックス氏はそうした企業に対し、技術を教える人材も不足していることを踏まえ、人材育成にすぐに注力するよう提言する。

仮想マシン、コンテナ、サーバレスの比較
特性 仮想マシン コンテナ サーバレス
拡張の単位 仮想マシン アプリケーション 機能
存続期間 数日から数か月 数秒から数分 数ミリ秒から数秒
パフォーマンス 予測可能 予測可能性が低い 予測可能性が最も低い
運用コスト
運用管理性
プロバイダー・ロックイン 中~高
(出典:ガートナー)

サーバレスのメリット

 では、サーバレスはどうか。最大のメリットが「真の従量課金制」が実現することだ。課金対象は計算処理であり、処理が発生しなければ当然、費用は一切発生しない。それでハードの購入や利用の有無を問わない定額料金制のオンプレミスはクラウドとの決定的な違いであり、その点で費用対効果は圧倒的に高い。

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サーバレス―長所と短所

 また、すでに述べた通り運用の手間と、そのための知識やノウハウが不要なこともメリットだ。これにより、サーバレス環境での技術者の役割は「開発」に特化することになる。

 コンテナを利用した開発により拡張性も高まる。結果、「ITにまつわるコストや人材の効率性が増し、ひいてはビジネスの俊敏性も増すわけです」とブルックス氏は解説する。

【次ページ】サーバレスの欠点

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