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「ナンバーワンブランドでないのなら、はっきりと差別化し、人々に注目される活動を展開しなければ生き残れない」。バーガーキング グローバル最高マーケティング責任者(CMO)のフェルナンド・マチャド(Fernando Machado)氏の言葉だ。“出る杭”的マーケティング戦略で回りと確実に差をつけるユニークなキャンペーンを次々と繰り出し、同社のブランド再生を成功させたマチャド氏が、常に持ち続ける5つの作戦を披露した。
実は迷走していたバーガーキングのマーケティング戦略
バーガーキングに着任する前、マチャド氏はユニリーバに在籍していた。ブラジル生まれでメキシコ、ロンドン、ニューヨークなどと拠点を変えながら、さまざまなカテゴリーの多種多様なブランドを担当して18年。まったく違うジャンルに挑戦したくなり、現在のバーガーキングを選んだという。
入社した当時、同氏はバーガーキングを力のあるブランドだと思っていた。しかし、1954年創業と歴史もあり、世界規模第2位のハンバーガーチェーンでありながら、そのブランド価値を正しく訴求できていなかったと感じていた。今でも最大のマーケットである北米での活動が特にそうだったという。
同氏が入社する以前の4年間、バーガーキングのCMは広告業界で世界的に権威ある広告アワード「カンヌライオンズ」の銅賞を2つ取っただけに過ぎなかった。マチャド氏は、CMのサンプルとして、エアロスミスのスティーヴン・タイラー氏が当時の新製品のクリスピーチキンを宣伝するCMや、スーツを着た40代ビジネスマンが当時のメニューだったストロベリースムージーを食べるCMを挙げた。しかし、同氏はどちらも気に入らなかったという。
「バーガーキングはチキンやストロベリースムージーがセールスポイントのブランドではなく、CMそのものにリアリティがないからです。また、顧客とのタッチポイントとなるパッケージやポスターもうまくいっていませんでした」(マチャド氏)
その上で「ファーストフード業界は超がつくほど競争が激しい業界です。ロサンゼルスの地図上にチェーン店をマッピングするとそれだけで地図がいっぱいになります。ここにスターバックスを加えたら地図は緑色になるでしょう(笑)。我々の広告予算は北米第6位です。通常、人々の心は業界トップブランドにありがちです。もしブランドがトップの位置にはなく、常にマーケットシェアと戦っている状態なら、はっきりと差別化して、人々に注目されるクリアな活動を展開しなければなりません」と語る。
そうした状況の中、マーケティング戦略全般が迷走していると感じた同氏は改革に立ち上がる。その後、バーガーキングは北米で最も勢いのあるハンバーガーチェーンへと復活したのだが、そこには大きく5つの作戦があったという。
(1)ブランドを理解せよ
マチャド氏は「自分が扱うブランドがどんなブランドなのか。これを知らずしてどんな活動もできない」と主張する。顧客に「バーガーキングといえば?」と尋ねたところ、多くは「ワッパー(バーガーキングの看板商品)」と答えた。その理由として「ハンバーグが直火焼きで、焼き加減が毎回違う」「トマトがフレッシュで、サイズが大きくて、肉汁やトマトの水分などで服や手が汚れる」ことなどが挙がった。
同氏はここから、ワッパーの“完全に不完全な”魅力を導き出し、この商品を愛する顧客のペルソナを作り出した。また、もう1つ見出した差別化ポイントとなったのが、ノベルティのペーパークラウンだった。大人も子供もバーガーキングの顧客は、このペーパークラウンをかぶって遊ぶのを楽しんでいたという。
(2)簡潔なメッセージを作成せよ
ブランドを知ったら、それを表す明確で簡潔なメッセージを作成する。短ければ短いほどいい。20ページものの報告書など誰も読まないからだ。
簡潔なメッセージを作るのはたやすいことではない。しかし、何かを選択するために、何かを犠牲にするというプロセスが重要なのだという。いったんメッセージが完成すれば、いつでもそこに立ち戻ることができるという。
マチャド氏は、最も成功したキャンペーンとして、モバイルアプリを1年かけて開発・リリースしたときのことを紹介した。
モバイルアプリというアイデア自体は新しいものではない。しかし、アプリをダウンロードし、店舗から600フィート(約182メートル)以内に入って注文をアクティベートすれば、1セントでワッパーを提供するというキャンペーンの奇抜さが受けた。その結果、メディアが14万ダウンロードと報道するほどのダウンロード数を記録した。
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