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- 2020/01/06 掲載
課題先進国日本のスマートシティ動向、高松や阿蘇、川崎など4事例を紹介
スマートシティに向けて―多様化した都市の新たな課題とは
スマートシティという言葉を耳にして久しいが、その取り組みはこのところのデジタルトランスフォーメーション(DX)のうねりとともに本格化しているようだ。政府の定義によると、スマートシティとは「先進的技術の活用により、都市や地域の機能やサービスを効率化・高度化し、各種の課題の解決を図るとともに、快適性や利便性を含めた新たな価値を創出する取り組み」であり、政府が掲げる新たな社会像である「Society 5.0」実現の場でもある。
そんなスマートシティについて、NECが先頃開いたESG(環境・社会・統治)説明会で、同社の取り組みにおける最新動向について紹介した。その中身が興味深かったので、説明に立った同社の受川裕 執行役員の話を基に紹介したい。
「防災」に関わる異常気象による被害の頻発化や甚大化、「公共インフラ」の老朽化や経験者不足による維持困難、「少子高齢化」による労働者不足や財源不足、「交通」の渋滞や事故の増加、地方公共交通の赤字化、「産業振興」における外国人誘致や地域活性化、「セーフティ」分野での高齢者の増加や女性、子供などの被害などである。
先進のスマートシティが集まる欧州の場合
こうした社会課題に対し、これまではそれぞれの課題を個別で最適化することによって解決しようとしてきた。しかし、ICTおよびDXが進展してきた中で、図1に示すように、分野を横断したデータ連携により、新しい市民サービスが領域や地域を越えて生まれてくるようになった。そうした取り組みが、世界で最も進んでいるのが欧州だ。2011年からEUの研究開発予算を使って、図2に示すような「FIWARE」(フィーチャーインターネットウェア、通称:ファイウェア)と呼ぶデータ連携基盤を開発。2017年からその推進団体が普及促進活動を行っており、現在24カ国、117都市、993企業が参加している。
NECはこの活動に開発段階から参画しており、推進団体において日本企業で唯一のプラチナ会員としてボードメンバーとなっている。
このデータ連携基盤の特徴は、オープンなアーキテクチャによって、たとえばスタートアップ企業でもすぐに活用できるようになっていることだ。NECはこのデータ連携基盤を活用して、国内でのスマートシティの取り組みに乗り出している。
【次ページ】従来のソリューションに追加して、セキュリティエコシステムを強化
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