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  • 2020/01/09

日立の中核企業が自社で試した「2025年の崖」の越え方とは

日立ハイテクグループの中核企業である日立ハイテクノロジーズが、ERPの更新を機に全社を挙げてデジタル化に取り組んでいる。老舗の製造大手が「2025年の崖」にいち早く対応し、デジタルトランスフォーメーション(DX)に挑んでいる格好だ。その背景とプロセスについて、同社 デジタル推進本部 理事 本部長 酒井 卓哉 氏が語った。

ジャーナリスト 松岡 功

ジャーナリスト 松岡 功

フリージャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT」の3分野をテーマに、複数のメディアで多様な見方を提供する記事を執筆している。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。危機管理コンサルティング会社が行うメディアトレーニングのアドバイザーも務める。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。1957年8月生まれ、大阪府出身。

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日立ハイテクノロジーズ デジタル推進本部 理事 本部長 酒井 卓哉氏
(出典:SAPジャパンの記者説明会で筆者撮影)

アドオン開発が増えて肥大化したSAP ERP

「経営層から『ERP(統合基幹業務システム)の更新だけでなく、もっとビジネスや業務改革に貢献し、当社の将来を見据えたデジタルトランスフォーメーション(DX)を考えよ』との厳命が下った」

 こう語るのは、日立ハイテクノロジーズのデジタル推進本部 理事 本部長の酒井 卓哉 氏だ。経営層から同じように求められている企業のIT部門は、少なくないだろう。

 日立ハイテクノロジーズは日立グループの中核会社で、創業70年余りの歴史を持つ電気機器関連を中心とした東証一部上場の企業である。

 1947年に旧・日製産業として創業し、2001年に日立製作所の電子部品・半導体関連事業の一部を統合して現社名となった。売上高は7,311億円(2019年3月期)、従業員数は連結で約1万1000人の会社だ。

 現在、同社がグローバル展開している事業は、半導体関連装置などの「アナリティカル」、分析装置などの「ナノテクノロジー」、生産システムなどの「インダストリアル」の3つのソリューション領域からなる。部品点数が最大5万点にも及ぶ複雑な製品が多いので、設計、製造に加えてきめ細かい保守サービスを担っているという。

 同社は1996年からSAPのERPパッケージ「SAP R/3」を導入・運用してきたが、当時の自社業務に合わせた追加機能の開発が多く、システムが複雑になって運用費が膨らんでいったという。酒井氏は当時の状況について、次のように振り返る。

「当初は、当時流行っていたBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)を実施しようとしたが、エンドユーザーの反発によって進まなかった。それどころか、アドオン開発の要請がどんどん増えていった。しかも、声の大きい人のために開発した機能など、使われないどころか、逆に不便になったケースも少なくなかった」(酒井氏)

新しい技術に対応し、変化に迅速に対応するために打ち出した4つの戦略

 確かに、1990年代後半から2000年代にかけて、日本語では「業務改革」と訳された「BPR」が流行り、筆者もその取り組み事例をいくつも取材した記憶がある。

 ただ、酒井氏がいうように業務現場のエンドユーザーが反発し、計画倒れに終わったケースも多々あった。「声の大きい人のために」との下りは、酒井氏の苦悩を感じさせる。

 さらに、「このままでは新しい技術への対応に遅れ、変化に対しても迅速に対応できない」と考えた同氏は、情報システム部門から衣替えしたデジタル推進本部として、次の4つの戦略を打ち出した。

  1. ・世界標準のシステムを利用する(Global Standard System)
  2. ・システム標準機能に業務を合わせる(Fit to Standard)
  3. ・構築する基盤から使う基盤へ(Cloud First)
  4. ・いつでもどこでも誰とでも安全に(Mobile First)

 そして、この4つが、その後の同社のデジタル戦略となっていく。

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図1:日立ハイテクノロジーズのデジタル戦略
(出典:SAPジャパンの記者説明会で筆者撮影)

【次ページ】グローバルの共通基盤として2階層のクラウドERPを導入

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