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  • 2020/02/14

Shopify(ショッピファイ)とは何か?なぜアマゾン・楽天キラーと呼ばれるのか

「アマゾンには出店しない」と断じたルイ・ヴィトン、さらにはディズニーやナイキ、ワークマンなどがアマゾンや楽天といった大手ECプラットフォームから離脱するなど、EC市場が変動の時を迎えている。その動きと呼応するように躍進しているのが、簡単にオンラインストアが開設できるプラットフォーム「Shopify(ショッピファイ)」だ。強力な集客力を持つ大型モールを離れ、なぜ個別のオンラインストアサービスが見直されているのか。D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の流行やオムニチャネル化といった消費者行動からも探っていこう。

在スペイン コンサルタント 佐藤 隆之

在スペイン コンサルタント 佐藤 隆之

Mint Labs製品開発部長。1981年栃木県生まれ。2006年東京大学大学院工学系研究科修了。日本アイ・ビー・エムにてITコンサルタント及びソフトウェア開発者として勤務した後、ESADE Business SchoolにてMBA(経営学修士)を取得。現在は、スペイン・バルセロナにある医療系ベンチャー企業の経営管理・製品開発を行うとともに、IT・経営・社会貢献にまたがる課題に係るコンサルティング活動を実施。Twitterアカウントは@takayukisato624。ビジネスモデルや海外での働き方に関するブログ「CTO for good」を運営。

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アマゾンキラーとして躍進しているShopify(ショッピファイ)。ECだけでなくリアル店舗も支援する
(出典:Shopify)

Shopifyとは?どんなサービスを提供しているのか?

 ShopifyはECサイト開発・運営を助けるプラットフォームとして、175か国100万ショップ以上に導入されるまで成長を遂げたカナダの企業だ。

 これまでECサイトを展開するには、自社でサーバを用意し、パッケージを導入する必要があったが、サブスクリプション型のサービスモデルでECサイトを開設できる容易さが評価されている。

 また、日本語にも対応しているほか、多言語・多通貨・海外配送も簡単にできるため、越境ECなどにも向いている。

 Shopifyでアカウントを作成すれば、管理画面で設定を行うだけでECサイトを作成できるので、サーバやネットワークの管理といった負担から解放される。14日間の無料期間の後、ベーシックプランであれば月額29ドルを支払えばよく、初期費用はかからない。

 デザインの変更も容易で、公式ストアに公開された数十もの「テーマ」を使えば、ITエンジニアやデザイナーを雇わなくても、高品質なデザインがサイト全体に適用できる。さらにはサードパーティの開発者が公開している「アプリ」を導入すれば、不足している機能も追加できる。

 ShopifyはECサイト運営で頭を悩ます業務についてとてもよく考慮されている。たとえば、昨今ECサイト事業者を悩ませる「オムニチャネル」への対応も可能だ。オンラインストア、ソーシャルメディア、さらには実店舗での情報もまとめて管理できるのは強みの一つだろう。

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Shopifyでは実店舗向けの管理ツールや決済端末も提供している
(出典:Shopify)

 大手企業でも縦割りの仕組みになっていることが多い中、顧客情報・商品情報・在庫情報が一括で管理できるため、各チャネルを統合できるのは魅力的と言える。

 また、決済の面でもクレジットカードやApple Pay、Google Payといった多様な手段に対応しており、PayPalやStripeといった外部サービスとの連携も行われている。

アマゾンや楽天を離れ、自社ECサイトを開設する理由

 企業がECを始める場合、特に日本ではアマゾンや楽天といったモールに出店する場合が多い。そのモールの集客力を活かし、参加すればすぐに消費者へ商品を届けられるのが利点だ。

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Shopifyのビジネスモデル
(出典:筆者作成)

 しかし、顧客から見ると、あくまでモールの上で商品を購入したと認識しているため、その出品者のブランドが認知されにくい。また、送料を巡るトラブルのように交渉力の強いモール運営企業と出品者が対立するケースもある。

 モールでの販売に向いているのは、差別化が難しい商品だろう。一般的な日用品のように、消費者がブランドに対するこだわりなく買い物をするような場合、モールの集客力を生かして、少しでも多くの消費者の目に触れる方が売り上げにつながる。

 一方で、有名なスポーツブランドやファッションブランドのように、指名買いが生まれる状況では、モールよりも独自サイトを設けたほうが利益につながりやすい。商品力があって差別化戦略がとれる企業は、自社ブランドを確立できる。

 その場合は自社サイトをEC戦略の中心に据えたほうが良い。近年、人気を集めているワークマンがモールから撤退し、自社ECへと注力することを発表したのも、その表れと言えるかもしれない。

 まとめよう。Shopifyは出店者のあくまで裏方に徹しているということである。一方でアマゾンは一部裏方に徹しているサービスもあるが、基本的には自社のエコシステムの中に取り込んでいこうとする。Shopifyが「アマゾンキラー」と呼ばれるのはそうした理由からだ。

 現在Shopifyを採用する例が多いのは、ブランドを持った消費財メーカー、写真やイラストなどのデジタル商品を販売するクリエイター、副次的なネットショップを開設する大手企業、消費者から注文を受けて製造元から直接配送を行うドロップシッピングなどが挙げられる。

本格化するD2Cの潮流、Shopify活用のネスレの戦略

 ここにきて、製造者が消費者へ直接的に商品を販売する「D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)」というビジネスモデルに注目が集まっている。

 単に中間業者を省くだけではなく、インターネットを通して消費者と関係を築き、商品・サービスに対するフィードバックを受けたり、パーソナライズされたマーケティング施策を講じたりできるようになる。

 モールを通した場合、顧客情報が得られるわけではないことが最大のデメリットだろう。自社の商品を誰が買ってくれているのかがほとんどわからない。一方、Shopifyなどで構築した自社ECサイトであれば、顧客との関係を築くD2Cが実現できる。

 たとえば、インスタントコーヒーのブランド「ネスカフェ」のカナダ市場向けサイトは、Shopifyで作成されたD2Cサービスとして展開されている。

 ネスレ以外にもゴディバやコムデギャルソン、ロレアル、ハイネケンの一部ECサイトで利用されている。

【次ページ】大型イベントと出店費用はトレードオフ

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